次世代遺伝学研究会が下記の要領で、3月25日に第4世代遺伝子研究シンポを開催する。最新情報は「バイオ関係者、皆のホームページ」学会研究会欄でアクセスできる。


シンポジウム
          進化する分子遺伝学
       から生命体システムを解く第4世代遺伝子研究から

[主催]次世代遺伝学研究会
[日時]平成12年3月25日(土曜日)9:30から17:00
[会場]東京大学山上会館大会議室
     (営団丸の内線本郷三丁目駅下車、徒歩10分)

[プログラム]
(午前)
飯野 雄一(東大・遺伝子)
    「線虫における感覚受容と学習のメカニズム:行動遺伝学的アプローチ」
川上 浩一(東大・医科研)
    「ゼブラフィッシュのinsertional mutagenesisによる脊椎動物形態形成遺伝子の研究」
加藤 明彦(九大・院理)
    「神経回路網の再編成メカニズムの解明に向けて」
饗場 篤(東大・医科研)
    「reverse geneticsによる哺乳類脳機能の解析」

岡田 清孝(京大・院理)
    「植物多細胞体制の構築戦略」

(午後)
浅野 桂(米国・NIH)
    「翻訳開始反応における蛋白質複合体形成と翻訳開始因子の進化」
正井 久雄(東大・医科研)
    「複製、組み換え、修復の共役と細胞周期制御」
芝 清隆(癌研・細生)
    「歴史学・工学としての遺伝子研究」

近藤 滋(徳島大・総合科学)
    「発生学のセントラルドグマ」

溝渕 潔(電通大・量子物質)
    「第4世代遺伝子研究の幕開け」

[参加費]無料

[問合せ]次世代遺伝学研究会
     Web:http://cell.jfcr.or.jp/MZ
     メイル:kshiba@jfcr.or.jp
     電話:03-5394-3903

[主催者より]

 遺伝学(Genetics)という言葉は1906年ベーツソンによって「遺伝と変異を研究する学問領域」として定義されたが、その後、いくつかの大きな知的枠組みの変革を経て広く遺伝物質の物理的・化学的性質と遺伝子作用を研究する学問分野として発展してきた。今日、遺伝子研究はさまざまな生物学の分野において無くてはならないものとなっている。


 遺伝学が生物学における重要な概念を提出し、その学問体系を確立したのは、モルガンらがメンデル則を説明するメカニズムとして染色体説を提唱(1911年)したことに始まる。それ以来、遺伝学は遺伝子のマッピングを含めた遺伝子構造と遺伝子発現の制御を含む遺伝子機能(作用)の解析を遺伝子研究の主要な2本柱として進展してきた。こういった視点から、これまでの遺伝子研究の軌跡を整理してみると、

 第1世代:モルガンの染色体説とビードル・テイタムの1遺伝子=1酵素説までの時代
 第2世代:ワトソン・クリックとジャコブ・モノに代表される世代
第3世代:ゲノム計画の円熟期である現在まで

 と捉えることができる。種々の生物のゲノム全構造が出そろった現在、我々は、いよいよ遺伝子研究の第4世代に突入しつつある。


 ゲノム解析の完成は、遺伝子研究の内容を質的に大きく変えようとしている。例え ば、遺伝子研究の柱の一つであった「マッピング」はある意味では終了したとみること ができるかもしれない。これまでの遺伝子研究では、「遺伝子さえ捉えれば、生命現象は解明されるに違いない」といった「逃げ道」が用意されていたが、今後はこのような逃げは許されない時代に入る。また、すでに明らかなように、遺伝子やゲノムの構造が解明されただけでは、何も生命現象を説明することができない。遺伝子研究者が現在対象としている生命現象は、「1遺伝子=1酵素」といった「単純で力強い」古き良き時代の生命現象ではない。換言すると、それぞれの生命現象を、well define された「遺伝子」を用いて、いかに美しく説明することができるかを求められる時代に入っている。遺伝子研究者が消え去るか、生き残るかの、まったなしの時代に突入したといえよう。

 本シンポジウムで話題を提供する演者は、複雑な生命現象を解明するために、「いかにゲノム計画の結果を利用できるのか」を考えている。本シンポジュウムではゲノムの形成、個体発生、形態形成、高次神経機能、システム間相互作用など、多岐にわたる分野を取り扱うが、いずれにせよ遺伝子の複雑なネットワークが生み出す、「何か」を明らかにしたいという共通意識をもっている。この「何か」が何であるのか?この「何か」を従来の遺伝子研究の語法で語ることができるのか?これが第4世代の遺伝子研究でもっとも真剣に考えるべき問題であり、そこから新しい指導原理となる次世代の科学概念が導き出せるのではないかと信じている。

 研究は始まったばかりである。それぞれの立場から第4世代の遺伝子研究について問題を提起し、参加者とともに討論できることを望んでいる。

                次世代遺伝学研究会


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