G2Kは3日目を終了した。今晩は米国Incyte社がスポンサーした豪華な晩餐で盛り上がった。ヒト・ドラフト・シーケンスが発表されると、いよいよ出番だという訳でもないだろうが、英国Cambridge大学や米国Hutsman Cancer Insituteと共同した臨床実験で、疾患に関与する新たなSNPsの発見を歌い上げた。もう、遺伝子機能の解析の準備はあるといわんばかりだ。それにしてもコンピュータを使ったプレゼンは見事だった。もうすぐ医薬品がゲノムから誕生する錯覚を多くの参加社は持ったに違いない。

 ドラフト・シーケンスの発表を間近に控え、遺伝子のデータベース・ビジネスは大きな曲がり角に来ている。「今まで相手にしてきた製薬企業など豊富な資金を持つ顧客から、研究者一人一人まで顧客を広げたい」(同社Sequencing Business部長のSamaraat S. Raha氏)。同社は昨年秋、企業ユーザーから個人ユーサーまで遺伝子機能解析用のデータベースのアクセス権を拡大するように戦略を転換した。その結果が今回のG2Kの晩餐会に表れた。

 Incyte社のデータベースを利用できる製薬企業の数には限界がある。同社は個人ユーザーを取り込むことで、遺伝情報の独占から、遺伝子機能の解析サービスにビジネスの重心を移そうとしているのだ。ここでしかアクセスできない遺伝情報のアクセスを売ることは、ドラフト・シーケンスの公表で急速に魅力が失われている。今までのデータベースの蓄積と同社が蓄積してきた機能解析のノウハウ、それらの情報を統合して検索するバイオインフォマティクスの能力に、今後の企業の成長を賭けたという訳だ。

 米国DoubleTwist社(前Pangea社)も、昨年末に研究者や企業などにインターネットを通じて、遺伝子機能解析を行うサービスを開始した。製薬企業から、大学などの個人研究者向けの新たなサービスだ。ドラフト公表により、ゲノム情報の独占が敗れる結果、各企業は遺伝子機能受託解析という新たな金脈に群がっている。データ解析も外注化の可能性が生れている。こうなると、日本でバイオ研究をしている企業は何を競争力のコアとするべきなのか?非常に悩ましい。

 一つの切り口は、自社が蓄積してきた前臨床データや臨床試験のデータと遺伝情報を結び付けるバイオインフォマティクスとデバイスかもしれない。明日の発表の詳細はまた続報する。(宮田 満)