多地点合同メディカル・カンファレンス
               [1999-第34回]

        日 時:1999年11月4日(木) 16:30から18:00
        場 所:国際交流会館 3階
        テーマ:中枢神経系原発悪性リンパ腫の生物学的特性と治療
    (国立呉病院発信)

司会 国立呉病院・中国地方がんセンター 宮田正彦

 中枢神経系原発悪性リンパ腫 (primary central nervous system malignant lymphoma、PCNSML) はAIDSに関連するものはもちろんであるが、明らかな免疫異常を認めない症例も増加の傾向にある。PCNSMLはそのpathogenesisがいまだ不明であり、中枢神経系という臓器の特殊性からか、他臓器に発生する同gradeの悪性
リンパ腫に比べて、その治療成績はきわめて不良である。しかし、一方では、化学・放射線療法により治療成績の向上が得られてきている。

 本日は、immunocompetent patientsにおけるPCNSMLに焦点をあて、その生物学的特性についての最近の見解と、その治療戦略について3施設から報告する。

1. 頭蓋内原発悪性リンパ腫の臨床病理学的検討
         国立呉病院・中国地方がんセンター 脳神経外科 谷口栄治
 中枢神経系原発悪性リンパ腫 (PCNSML) 21例について、腫瘍細胞増殖能、ウィルスとの関連、apoptosisについて臨床病理学的検討を行った。主に予後因子とな
る指標の有無について検討し、加えてこれら指標の意義について考察を行った。

 増殖能指標は予後推定に有用と考えられ、immunoblastic typeで指標が高い場合、全身状態不良となることが推察された。

2. 中枢神経系悪性リンパ腫の治療成績と病態上の問題点
               宮城県立がんセンター 脳神経外科 片倉隆一
 我々は中枢神経系悪性リンパ腫に対し、定位的生検後 ACNU 3-vessels 動注療法と放射線の併用療法を初期治療として行ってきた。これは、脳全体をできるだけ均等に治療する事を目的にしたためである。今回は、本療法の治療成績を報告するとともに、治療を行う過程で出てきた本疾患の病態に関する疑問点について、我々の考え方を述べ皆さんと討論したい。

3. 広島大学脳神経外科における中枢神経系悪性リンパ腫の治療経験
                     広島大学 脳神経外科 杉山一彦
 中枢神経系悪性リンパ腫は治療によく反応するものの緩解期は短く、しかも痴呆、精神障害等のため緩解期のQOLは著しく低い難治性の疾患である。今回は当科におけるこれまでの中枢神経系悪性リンパ腫の治療経験と、最近の数例に行っているmethotrexate大量療法の現状を示し、皆さんのご意見をお伺いしたい。