多地点合同メディカル・カンファレンス
         [1999-第33回]

 日 時:1999年10月28日(木) 16:30から18:00
 場 所:国際交流会館3階
 テーマ:がん登録と臨床研究
    (千葉県がんセンター発信)

    司会 千葉県がんセンター 村田 紀

 がん対策の立案、実施、監視ならびに評価にとって、地域がん登録は必須の道具であるはずであるが、我が国ではなぜかこのことが軽視され続けてきた。病院内登録についても然りである。地域がん登録が法的保護を受けていないのは、先進諸国の中で我が国だけである。これからのがん医療がEBMであるべきために、一層この問題に関心を持っていただきたいと考え、本企画を組んだ。


1. 地域がん登録とがん対策の評価 -罹患、死亡、生存率の動向?
   大阪府立成人病センター調査部 味木和喜子
 がん対策の目標は、がん死亡を減少させることであり、これは(1)罹患の減少、(2)早期発見、および(3)治療法の改善・普及により達成することができる。地域がん登録は、罹患率を計測する唯一の仕組みであり、また、進行度分布、生存率を地域レベルで計測することにより、早期診断の普及、がん医療の状況を継続的に観察する役割を持つ。大阪府がん登録資料より、罹患、死亡、進行度分布および生存率の動向を報告する。


2. 全がん協加盟施設における5年生存率の算定
   神奈川県立がんセンター研究第三科(疫学) 岡本直幸 
  
 がんの5年生存率は医療や臨床研究の場で重要である。しかし、わが国では一部の施設あるいは診療科別に算出されるため、バイアスの存在が考えられる。厚生省がん研究助成金「佐々木班」では、全がん協加盟の全施設でのがん患者の個別情報を収集し、毎年、主要な部位の性別、進行度別5年相対生存率を算出している。
  その紹介を行うとともに、5年生存率算定に係わる問題点について紹介を行う。

3. 院内がん登録がうまく構築できない理由
  愛知県がんセンター研究所疫学部 井上真奈美
 院内がん登録は、施設のがん診療特性の把握や地域のがん罹患統計の要となる大変重要な疾病登録システムである。欧米などのがん登録先進国では、院内がん登録システムの存在がその医療施設の質の評価につながるため、その構築が大変進んでいるが、これと比較して、我が国では、院内がん登録システムが必ずしも円滑に構築できていない。この理由について、どこに問題があるのかを考察する。