多地点合同メディカル・カンファレンス
        〔 1999 - 第29回 〕

   日 時: 1999年 9月 9日(木) 16:30 から 18:00
場 所: 国際交流会館 3 階
テーマ: 消化器がんの転移予知
            (国立がんセンター中央発信)

        司会: 国立がんセンター中央病院 外科  笹子 三津留
 がんの転移をコントロールできれば、治療成績は飛躍的に向上するであろう。
最近の転移の研究には、分子生物学的手法が取り入れられて、転移のメカニズム、micrometastasisなどの分野で、従来の病理組織学的視点とは、おもむきの異なった知見が得られている。
 一方、臨床の場ではコンピュータによる転移予測、リンパ造影、sentinelnode biopsyなどが検討され、郭清の精度向上と合理化がはかられている。
 今回、消化器がんでの最新の知見について講演していただき、討論したい。


1. 胃がんにおけるリンパ節転移予知の臨床
                 国立がんセンター中央病院 外科  佐野 武
リンパ節転移は胃がんの最も重要な予後因子の一つであるが、術前・術中のリンパ節転移診断は、食道がんや大腸がんのそれに比べて正診率が低く、sentinel nodeの同定も困難である。胃がんリンパ節転移を予知できれば、治療方針の決定に間違いなく役立つ。
 胃がんのリンパ節転移に関する最近の話題と、当センターで利用しているコンピュータによる予測プログラムを紹介する。

2. 消化器がんの転移の予知とその対策
                 金沢大学がん研究所 腫瘍外科   磨伊 正義
 がんの制御は、転移をいかに抑制するかにかかっていることは論を待たない。特に消化器がんはリンパ節郭清などの根治手術が発展し、ある程度の進行度のがんに対しては手術で治癒せしめることが可能となってきたが、遠隔転移により再発を見る症例も少なくない。しかし、この遠隔転移や再発に対しては、化学療法剤などの従来の治療法ではほとんど対処できないのが現状であある。これを打開するためには、消化器がんの転移の機序を分子生物学的に理解し、それに応じた分子標的の治療を確立していかねばならないと考えられる。一方、転移の分子機構は遺伝子異常、血管新生、浸潤、接着、運動
能など数多くのステップからなり、ステップ毎に数多くの分子が関与していることが明らかにされつつある。そこで、今回消化器がんの転移の分子機構として、主にMatrixmetalloproteinase(MMP)による浸潤能および血管新生の面から検討し、転移の予知、制御する方法について述べたい。