多地点合同メディカル・カンファレンス
             〔 夏期セミナー 〕

       日 時: 1999年 8月 26日(木) 16:30 から 18:00
    場 所: 国際交流会館 3 階
テーマ: 情報化社会におけるがん対策
                      (国立がんセンター中央発信)
        司会: 国立がんセンター研究所 がん情報研究部  山口 直人
 情報化社会の到来が喧伝されて久しい。コンピュータ、ネットワークといった技術基盤は着実に整備されつつあり、今後は質の高いがん情報を蓄積・整備し、有効活用をはかって行くことが求められている。本セミナーでは情報化社会が、がんの診療、研究、予防など、がん対策のあらゆる面をどのように変えて行くのか、その現状と将来を考察したい。

1. 病院情報システムの現状と将来
                国立がんセンター中央病院 脳外科  小山 博史
病院情報システムの歴史は、第一世代の医事会計システムの導入、から第二世代のオーダーエントリーシステム導入、を経て現在第三世代の情報システム化に突入しつつある。社会基盤としてのコンピュータの技術革新と、システム工学や情報科学技術等のソフトウエア研究の進歩により、社会全体がより高速な情報処理を必要とする時代になってきている。これは病院情報システムも例外ではなく、第三世代システムに求められる最大の機能(設計思想)は、病院として目的に応じデータを収集解析し、問題を抽出・分析し「迅速で科学的な判断」を行うことにある。これを実現するためには、(1)現状の診療の状況解析に必要なモニタリングシステムや各種のデータ登録・管理するためのシステム化、(2)治療法の確立を目指した臨床研究支援システム開発、(3)新薬の開発を中心とした治験管理システムの開発・導入、(4)病診連携や在宅医療のためのネットワークを利用したシステムの構築、(5)DRG/PPS(Diagnosis Related Group / Prospective Payment System)を実施するためのシステム化が求められる。今回は、このような病院情報システムの多様化の現状と、上記を実現していく上での問題点について概説する。

2. 情報化でがん対策とその評価はどう変わったか
             国立がんセンター研究所 がん情報研究部  山口 直人
 米国で数十年来はじめてがん死亡率の低下が認められた。現状分析、資源投入、そして評価。アポロ計画などの巨大プロジェクトで培われた国家的な取り組みが、がん対策でも功を奏しつつあると言える。振り返って我が国のがん対策はどうか。肺がん死亡率の急速な上昇は胃がん、子宮頸がん等の死亡率の低下を帳消しにし、未だ出口の見えない状況であるが、「健康日本21」の企画策定に見られるように、一次予防、二次予防、三次予防を包括した総合的ながん対策が立案され、その評価の基礎として情報の有効活用が脚光を浴び始めている。我が国は世界有数の高度情報社会に向けて邁進しており、その流れの中でがん対策を加速することができるか、その可能性について考察したい。