国立がんセンター、多地点合同メディカル・カンファレンス
             〔 夏期セミナー 〕

日 時: 1999年 8月 12日(木) 16:30 から 18:00
場 所: 国際交流会館 3 階
テーマ: 「生活環境中に存在する発がん因子」
                      (国立がんセンター中央発信)
     司会: 国立がんセンター研究所 がん予防研究部  若林 敬二
 ヒトがん発生には、環境因子が深く関わっている。一方、正常細胞が、がん細胞に変化するためには多くの段階があり、多数の遺伝子変化の蓄積が必要である。言い換えれば、生活環境中の多くの発がん因子が各々に作用し合って、数多くの遺伝子を少しずつ傷害し続けた結果、がんが発生してくるものと考えられる。ヒトがんの有効な予防措置を講ずる上には、環境発がん因子を究明する必要がある。
 本セミナーでは、環境中の発がん物質の同定、ヒト曝露量、ヒト発がんに及ぼす影響に関する疫学的解析などについて紹介する。

1. 環境中の発がん物質 - ヒトがん発生への関与
     国立がんセンター研究所 がん予防研究部  若林 敬二
 ヒトがん発生には、環境因子、特に喫煙、及び食事性因子が深く関わっている。事実、タバコの煙や食品中には芳香族炭化水素化合物、ニトロソアミン、ヘテロサイクリックアミン、マイコトキシン及びピロリジジンアルカロイドなどの多種多様の発がん物質が含まれており、ヒトは日常生活において常に微量の発がん物質に曝露されている。これら発がん物質への曝露量はたとえ微量であっても、組織中のDNAに傷害を及ぼしている可能性が指摘されている。加熱食品中に含まれている発がん物質であるヘテロサイクリックアミンを例にとり、生活環境中に存在する発がん物質のヒトがん発生への関わり合いについて述べる。

2. 疫学における発がん物質摂取量の推定方法と最近の研究の動向
    国立がんセンター研究所支所 臨床疫学研究部 佐々木 敏
 発がん物質摂取量を量的に推定し、疫学研究で疾患との関連を検討することは種々の困難を伴い、我が国ではあまり進んでいない。そこで、疫学研究で用いることを目的として発がん物質を含む微量栄養素の摂取量を推定する場合に必要となる研究手法(調査票や食品成分表の開発、妥当性の検討)の基礎理論と事例をヘテロサイクリックアミン、脂肪酸、カロテノイドを例にあげて紹介するとともに、最近の欧米における動向についても簡単に触れる。