多地点合同メディカル・カンファレンス[1999-第9回]
日 時:1999年3月18日(木) 16:30から18:00
場 所:国際交流会館3階
テーマ:がんに対する養子免疫療法の実際(千葉県がんセンター発信)
司会 千葉県がんセンター 呼吸器科  木村秀樹

分子生物学や遺伝子治療などの発展にともなって、最近がんの免疫療法にも新しい手法が取り入れられるようになり、新たな展開が期待されている。今回はがんに対
する養子免疫療法の実際として、養子免疫療法を治療に取り入れ、成果のあがっている施設を選び発表していただく。

 とくに、東京女子医大高崎外科の有賀先生、広島大原医研峠教授腫瘍外科の山口先生は厚生省の高度先進医療に指定された養子免疫療法を行っており、今後の成果が特に期待されている。これらの治療法の実際と問題点、
今後の方向性などについて忌憚ない意見の交換をお願いしたい。

1. 多発性肝臓がんに対する活性化自己リンパ球移入療法
     東京女子医科大学附属消化器病センター 外科  有賀 淳、高崎 健
 我々は厚生省認定の高度先進医療として活性化自己リンパ球移入療法を、肝臓がん切除後遺残肝腫瘍を対象に施行している。過去の成績では多発肝細胞がんに対するでCTL 移入療法にて25%の著効を認め、最長10年の長期生存が認められている。最近は in vitro での CTL 誘導に樹状細胞やがん抗原ペプチドを用いた新しい治療を試みている。

2. がんに対する活性化自己リンパ球移入療法
     広島大学原爆放射能医学研究所 腫瘍外科  山口佳之、峠 哲哉
 がん患者に対し、活性化自己リンパ球移入療法(LAK、TIL、CTL)を施行してきた。臓器転移に対する腫瘍縮小効果は低いが、がん性体腔液には特に有効でQOLの改善は著しく、それに対しH8&s_comma;11&s_comma;1、高度先進医療として認可された。以来17例が登録され、評価可能14例中有効11例(78%)である。今後、遺伝子導入技術の普及や抗原ペプチドの応用により、本療法のさらなる発展が期待される。

3.  特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)の誘導と臨床
             千葉県がんセンター 消化器外科  早田浩明
 高度進行がん症例を対象にCTLを用いた養子免疫療法を試行している。自家腫瘍細胞との混合刺激培養により末梢血単核球から自家腫瘍特異的CTLを誘導し輸注する。13症例の経験では宿主の対がん免疫機能の低下や腫瘍細胞の免疫逃避能等によりCTL誘導率は低いが、誘導成功症例では臨床効果が得られた。副作用は軽微な発熱と疼痛であった。CTL誘導効率の向上とCTLが腫瘍局所に集中する投与法が本療法の課題と思われる。

4. 原発性肺がんに対する術後養子免疫療法
              千葉県がんセンター 呼吸器科  木村秀樹
  原発性肺がんの術後再発抑制を目的として、LAK 細胞による養子免疫療法のrandomized controlled study を行った。対象は原発性非小細胞肺がん切除後の症例で自家肺がん所属リンパ節リンパ球よりIL2 により活性化したRnーLAK細胞と末梢血リンパ球より採取したPb-LAK細胞を用い、術後2ー3ヶ月に1回2年間を目標に治療をおこなってきた。この study の結果と今後の問題点について発表する。