皆さん、おはようございます。本当は生中継したかったのですが、回線不良状況不良のため、3日遅れでLondonから中継録画で報告いたします。

 北緯63度のアイスランドの首都Reykjavikにたどり着きました。暫く、音信不通となったのは、「Reykjavikの罠」にはまっていたためです。これに関しては後でお話しましょう。アイスランドに着いて思ったことは「とにかく世界は広い」ということです。CNNやインターネットで見れる世界は限られたものです。アイスランドに関してもインターネットで情報を収集したつもりでしたが、空港に着陸する時もう、収集した情報から再構築したイメージ、オーロラの見える北のパラダイス、はもろくも崩れさりました。やっぱりインターネットの時代でも現地取材は欠かせないと確信しました。

 着陸寸前、雲間から見えた世界には木がないのです。見渡す限りの平原に木が一本もない。憂鬱に曇った空からは、冷たい雨が叩き付けています。わずかにうねる大地には火山によってできた噴火口が顔を覗かせています。全ての大地は深緑色の苔で覆われています。あまりの風景に衝撃を受けました。となりのお年寄りのイギリス人が不安げに「まるで月に来たみたい」とうめいています。後で分かったのですが、米国航空宇宙局はアポロ1号の宇宙飛行士をアイスランドの北部で実際に訓練したようです。彼我の違いは水分の有無くらいですから。

 FlyBusというリムジンバスに乗り、市内に向かうと不安は増幅しました。午後3時だというのにライトをこうこうと点けた車がのろのろと進みます。かなりのスピードを出しているのですが、周りは月世界ですから、まるで砂を漕ぐように風景が変わらないので、いらいらしてきます。しかも、道路は打ちっぱなしのアスファルトをまっすぐ引いただけ。世界で最も澄んだ空気が視界を確保してくれますが、見えるのはどこまでもまっすぐに続く道路と前を進む車の赤いバックライトだけ。30分も走りましたが木は一本もありません。遠くに白い温泉の煙りと遠くに山脈が見えるようになったのが唯一の変化です。勿論、周りは苔むした月世界です。誰だ、「Reykjavikのクラブ(ナイトクラブではありません)はヨーロッパの先端で面白い」と誘惑した奴は、これでは文明の痕跡もありはしないと、後悔の念がむくむくと頭を持ち上げてきます。

 さすがに市内にエネルギーを供給する地熱パワープラントの巨大な建物をかすめて、右に緩やか曲った当たりから、人家が見え始めました。人家の脇にはポプラのひょろひょろした木が植えてあります。日本では垣根の木は風除けなどで人家を守りますが、当地では住宅が木を保護しているようです。


 こうしてぶつぶつ、後悔しながら暗い気持ちで到着したReykajavikの中心街は、意外にも下北沢と港町横浜を合わせたような居心地の良い町でした。人の気持ちなんで1分で変わるものです。しかし、ホテルに着いてインターネットに接続しようとして、再び地獄が始まりました。とにかく繋がらなかったのです。この涙の顛末はまた、帰国後にご報告します。

 21日は、アイスランドのベンチャー企業DeCode Genetics社を訪問します。また、全国民のカルテを数世代にわたって保存しているアイスランド政府厚生省の担当者もインタビューします。果たして、国民の遺伝子は天然資源と同じく、国を富ませるのか?私の疑問は限りなく膨らんでいます。

 それではお元気で。(宮田 満 in Raykajavik)

ps 毎日雨で今のところオーロラにはお目にかかれません。