先週の木曜日(6月26日)早朝7時半に、欧州の環境保護団体で、遺伝子組換え農産物欧州への輸入に反対しているGreen Peaceが、EuropaBio&s_quote;97の会場となったオランダAmstedam市のRAI国際会議場を急襲、ダイズ(多分、一部は組換えダイズを含む)で会場入り口を封鎖する大デモンストレーションを行った。しかし、こうしたテレビ向けの騒ぎの一方で、Green Peaceは正規の参加料を支払い、この会議に参加、組換え農産物のセッションなどで冷静で科学的な質問を行うなど、わが国で信じられている”過激派”というイメージとは異なる一面を見せた。欧州の反対運動の底の深さを見せつけられた。

 皮肉なことだが、バイオが市民に受容されるには、こうした感情へのアッピールたけ、しかも冷静な科学的議論も可能な市民団体の存在が必要なのかも知れない。わが国の消費者団体も今バイオに関心を深めているが、テレビ向けのアッピールだけの真似に終わらないことを期待したい。

 こうしたGreen Peaceのデモに関して、真剣に講義する参加者はわずかで、ボランティアの高校生が行っている会場入り口でのチェックが強化されただけという極めて冷静な対応だった。しかも水曜日夜のデモ同様、同調するAmsterdam市民はほとんど見られなかった。

 会場でGreen PeaceのBenedikt Haerlin氏(写真は欧州議会の議員と話す同氏(右))が質問した主要点は、1)消費者や工業団体が組換え農作物の安全性や環境改善性の根拠とするデータが、バイオ企業の調査ではないか、2)Green Peaceの調査では、非組換えダイズの分別流通(Segregation)は、コストの上昇なしに可能だがどう思うか-の2点だ。

 安全性は既に議論から外れていた。また、EuropaBio参加企業が、スイスNestle社を先頭に、組換え食品表示に踏み切ったことから、争点は組換えダイズの分別流通を義務つけるか、また、そのコストは誰が払うかに移っている。新たな設備投資が必要で、しかも100%非組換え体であることを保証することが大規模流通では不可能な主要穀物では、バイオ企業は何としても分別流通は避けたいところ。組換え食品表示で急速に、しかも安易に妥協したように見える欧州のバイオ企業の最後の一線となっている。

 一方、除草剤耐性ダイズが96年の米国の成績で、農薬使用料を9から30%削減、環境保全作用も証明されつつあるため、Green Peaceの主張はやや色褪せてきた。「もし、失敗したら組換え農産物による環境汚染は取り返しがつかないものになる。もともと、遺伝子組換えは自然に反すると我々は考えている」(Haerlin氏)。こうしたあくまで可能性だけの懸念や進歩に対する保守性は、農民や食品加工業者、そして消費者が、組換え農産物の恩恵を実際に受けた時に雲散霧消するだろう。

 英国では96年2月から英国ZENEKA社の組換えトマト・ピューレは、モダン・バイオテクノロジーで製造したと明示してあるにもかかわらず、低価格と味という恩恵を消費者に還元したため、今年も尚、売り上げを伸ばしている。(宮田 満 in Amsterdam)