Parisより空路Amsterdam入り。

 早朝のためやや眠気を催すも、冷たい外気の性で意識を保っている。本日は来月からインターネットで生命科学の専門雑誌の全文を提供することを決めたオランダElsevier Science社を訪問した。

 結論からいえば、同社は本気だった。先週報道した200の雑誌ではないが、45の生命科学関連の専門雑誌の全文とアブストラクトを提供する「Science Direct」を商業化する。詳しくは同社のホームページを参照。3月のニュースリリースに「
Science Direct」のβ版(御試し版)の内容が触れられているが、商業化版はこのβ版とほとんど変わらない。

 料金は紙媒体の20%、紙媒体を購読していない読者は、閲覧した論文毎に20から30ドルの費用を要求される。但し、今回インターネットで提供される専門雑誌を1誌も購読していない読者は、「Science Directo」を利用することができない(写真はインターネットの仕掛け人の一人、同社Secondary Publishing Division部長のWubbo J. Tempel氏)。

 サーバーはAmsterdamと米国オハイオ州Daytonに設置される。β版は全世界の8つの機関や企業が試用した。

 インターネットによる生命科学雑誌の全文テキスト提供は、バイオテクノロジーの研究基盤を大きく変化させることになる。現在のところ、Elsevier社は欧米市場を中心に商業化を考えており、日本にミラーサーバーを設置する構想はない。そのため、わが国の研究者は、欧米の研究者がデスクトップから全ての情報を入手できるのに比べ、実験や思考を中断して図書館までコピーに出かけることを余儀なくされれるのだ。しかも、1カ月遅れの論文のためにだ。

 このままではわが国の生命科学は、同じ100メートル競争を欧米とするのに、50メートルもスタートラインを下げられるハンデレースを強いられることは間違いない。もうそこに危機的な状況が迫っていることに気付かなくてはならないだろう。
(宮田 満 in Amsterdam)