ゲノムの機能解析技術開発を目的に産官の共同出資で設立されたヘリックス研究所が、1周年記念シンポジウムをかずさアカデミア・パークで開催、約150人の聴衆が参集した。ヘリックス研究所の概要を説明した同研究所部長研究員の村松正明氏は「全鎖長のcDNAの解析を進め、それを基にコンピュータ解析などにより、機能分析の対象となる遺伝子を絞り込み、その後、様々の手法でこの遺伝子機能を究明する」と同研究所の戦略を説明した。

 「ゲノムからプロテオ-ムへ、そしてプロテオームに基づく創薬技術の開発が、この研究所の使命だ」と同研究所社長の野口照久氏は解説した。プロテオームは最近提唱されている概念。今までのゲノム創薬が、リガンド→受容体→細胞情報伝達系→転写調節因子→遺伝子の転写までを対象としているとすると、プロテオームは遺伝子の転写→mRNA→蛋白→→標的細胞の情報の流れとそれを支配する蛋白の構造と機能の研究から、創薬の標的となる蛋白を選別しようというものだ。ゲノムという設計図ではなく、実際に生理機能を担う蛋白の機能と構造の解明に力点を移し、逸早く創薬の標的分子を捕まえようという戦略だ。

 その基盤として、同研究所は全鎖長のcDNA解析研究に着手している。神経細胞株NT2から、全鎖長cDNAをクローン化中だ。既に5&s_quote;末を含むcDNA断片を5000個近く解読、その中から現在、40のcDNAに絞って、全鎖長の解読を行っている。これは研究システムの整備も兼ねた研究だ。今後は疾患モデル・マウスや脳の組織からの全鎖長cDNAの解読を行う計画だ。