バイオテクノロジーの古くて新しい話題に、遺伝資源の問題がある。これがなくては最新のバイオ技術も活用することができないという議論だ。最近では試験管内で分子の多様性を発生する技術、進化分子工学や構造生物学によって、遺伝資源がバイオ研究の律速であるという議論も色褪せてきた。だが、現実に分子の多様性を見れば、まだまだ自然から学ぶべき点は残っている。今回のシンポジウムは古色騒然たる今までの遺伝資源の発想を超えて、新しい生命科学を支える知的資源として遺伝資源を捉え直そうという試みで、注目に値するだろう。
シンポジウム「生物遺伝資源に生命を学ぶ」プログラム
主催 日本学術会議遺伝学研究連格委員会及び遺伝資源研究連絡委員会
共催 日本遺伝学会
日時 平成8年9月13日(金)13:00-17:00
会場 日本学術会議講堂東京都港区六本木7丁目22-34
(地下鉄千代田線乃木坂駅下車徒歩1分)
演題
第1部 生物遺伝資源活用の方策
司会 由良 隆(HSP研・所長)
13:05-13:45「野生」から生命機能を学ぶ;生物遺伝資源の活用
森脇和郎(総研大・副学長)
13:45-14:25 植物多様性の保全と利用
岩槻 邦男(立教大・理・教授)
第2部 生物遺伝資源からの「生命」の探求
司会 黒田 行昭(麻布大・教授)
14:25-15:05 遺伝資源としての小型魚類
堀 寛(名大・理・教授)
15:05-15:45 シロイヌナズナを用いた植物遺伝資源の探求
岡田 清孝(京大・理・教授)
15:45-16:05 休憩
第3部 「生物遺伝資源に生命を学ぶ」将来への展望
司会 石和 貞男(お茶の水大・理・教授)
16:05-16:55 オサムシの分子進化
大津 省三(生命誌研究館・顧問)