
rooty変異体は,根が異常に増殖するシロイヌナズナの変異体だ。現在、植物の器官分化は,植物ホルモンのオーキシンとサイトカイニンの存在比で決まるというのが定説だ。オーキシンの存在比が高いと根が,その逆の場合は芽が分化するという説である。
実際、rooty変異体では、内在性のオーキシンの濃度も上がっている。世界中の研究者がrooty遺伝子をポジショナル・クローニングしようと競争したが、Minnesota大学のグループが一番乗りに成功した。たまたま、同グループが使用していた変異体では、rooty遺伝子にT-DNA遺伝子が挿入されていた幸運に恵まれたのが成功の原因だった。
11月12から13日に理化学研究所で開催されたシロイヌナズナのワークショップで、Minnesota大学のOlszewski氏がrooty遺伝子のクローン化を発表した。それによると、rooty遺伝子はヒトのチロシン・アミノトランスフェラーゼと構造上相同性があり、SUPER ROOT&s_comma; Hookless3などと同一遺伝子だった。(宮田 満)