皆さま、こんにちは。日経バイオテク編集の高橋厚妃です。日に日に涼しさが増しており、季節の変わり目を感じるこの頃ですが、来月末で、再生医療新法が施行されてから1年が経過しようとしています。先日、開催されていたBioJapan2015 World Business Forumの再生医療のセッションでも、「新法適用から1年で『再生医療はどう変わったか』」というテーマでシンポジウムが開催されていました。再生医療新法が施行されてから、1年――。現場では一体何が変わったのか?

 私が大きな変化と考えているのは、再生医療新法が施行されたことで、国内で新しく細胞培養加工受託のビジネスが誕生したことです。先日もお伝えしましたが、2015年9月に新たに2社、特定細胞加工物製造の許可を取得したことが判明しました。これで、13社が許可を取得したことになります。
「細胞培養加工受託、9月に新たに2社が許可、合計13社に」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20151023/188126/

 一方でシンポジウムでは、規制当局や企業、アカデミア、医療機関といった様々な立場のパネリストたちが、新法が施行されてから生じた「変化」について個人の考えを話しました。

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)再生医療製品等審査部の佐藤大作部長は、変化として「再生医療に対する関心が高まって、PMDAの薬事戦略相談などに来る相談者の数が多くなった」こと、「審査担当者の考え方が変化したこと」を挙げました。新法が施行される前は、再生医療等製品の審査は、医薬品か医療機器のどちらかの考え方に無理やり合わせていたところもあったようです。「再生医療等製品という新しい項目が誕生したことで、再生医療に適した規制を基に、考えられるようになったことは大きな変化」と強調しました。

 大日本住友製薬の執行役員を務める木村徹再生・細胞医薬事業推進室長は、「現在、PMDAと毎月のように話し合っており、当局との距離感が変わった。協力して一緒に課題を解決していく関係を築けていると感じる。また、海外のベンチャー企業と接触する中で、なんとか日本でパートナーを見つけて開発したいという強い熱意を彼らが抱いていることを日々感じている」と紹介しました。

 佐藤部長の発表によれば、再生医療等製品に関する薬事戦略相談の数は年々増加しており、ついに2014年には、医薬品に関する相談件数とほぼ変わらなかったそうです。このことからも、企業の再生医療に対する関心の高さがうかがえます。ただし、課題も明らかとなってきました。シンポジウムで挙げられたのは、「国内での開発、販売にこだわっていると、大きな市場は望めない」「(市場を獲得するためには、世界でも日本の新法の早期承認などの仕組みが必要と考えられるので、)新法の概念をどのように世界に展開していくか」「再生医療等製品を保険償還において、どのように評価するのか」などです。これらの変化や課題を念頭に、これからも引き続き再生医療の動きについて取材を続けていきたいと思います。