(編集部注)この記事は、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によるアグリバイオ最新情報【2015年9月】の日本語訳を掲載したものです。

世界

種子中の低レベル異種存在の科学的環境リスク評価基準提案

 遺伝子組換え(GE)作物の低レベルの存在(Low-Level Presence(LLP))が環境にほとんど悪影響ないことを評価するための科学的環境リスク評価基準が提案された。現在、LLPの条件での作物輸入について、環境リスク評価(ERA)が行われているが、GE作物の低レベルの環境曝露およびその事前規制については、行われていない。また、現行の評価では、輸入された種子のLLPについて意思決定するための時間設定が適切でない恐れがある。そこでこれらの問題に対処し、輸入種子のLLPを規制するシステムの改善に向けて提案がなされた。

 提案されたのは、以下の3つの一般的な基準:
・当該作物が、ヒトの介入なしに移入環境中で生残、持続、増殖しないことの経験と知見
・ LLPに該当する当該作物に組込まれた形質が、環境へのリスクをもたらさないことの経験と知見

・以前に行われたERAによると、GE作物は導入環境の中での生残、抵抗性に影響を与えるような生長と増殖に関する特性が変わったところはない

 提案の全文は科学雑誌Transgenic Researchで読める。

国連、発展途上国における気候変動への適応戦略の強化を支援

 国連の新しいプログラムは、8つの途上国が直面している気候変動への適応戦略を改善し、強化することの支援に焦点を当てている。「国家適応計画における農業の統合」と題したプログラムを通じ、国際連合食糧農業機関(FAO)と国連開発計画(UNDP)は、生活を守り、農業生産を強化し、食料安全保障を推進するため、ネパール、ケニヤ、フィリピン、タイ、ウガンダ、ウルグアイ、ベトナム、ザンビアの農業省と提携を結ぶ予定である。

 FAOによると、恵まれない人口の75%が農村部に存在し、その収入は、農業に依存している。そのため旱魃、塩害と気象変動などの気候変動への対応には、近代的な栽培法、水と灌漑システムの近代化が必須である。

 「次の数十年における食料安全保障は、技術革新と気候変動に適応するための総合的能力向上が必須。農業部門は、全ての国にとって非常に重要であり、生活を守るための生命線である。従って、FAOとUNDPは協力して、これらの国々を支援する国家適応計画(National Adaptation Planning 、NAP)に農業を統合することに注力する」と、UNDP地球環境財務部門のエグゼクティブ・コーディネーターAdriana Dinu氏は述べている。

 メディアリリースは、FAOのサイトにある。

GMコムギなしでは、食糧不足が生じると世界食糧賞受賞者が発言

 2014年の世界食糧賞受賞者であるSanjaya Rajaram博士は、コムギに遺伝子操作を利用しなくては、食糧不足につながると述べた。オーストラリアのSydneyで開催された国際小麦会議に合わせたオーストラリア放送協会による生放送番組「The Country Hour」のインタビューの中で、Rajaram博士は「遺伝子組換え技術は、将来の世界を養うために必要である」と述べた。

 Rajaram博士は、世界の小麦生産が世界の人口を養うためには、現在の7億tを2050年には10億tに増加する必要があると強調し、従来法やハイブリッドの育種では十分ではないと指摘し、「政府、研究機関、科学者だけでなく、農家を含む国際社会がその目標を達成するように準備しなければならない。そのために従来の植物育種では、それを達成できない」と述べた。

 Rajaram博士は、51カ国で使用される480のコムギ品種の開発を行った成果により、2014年に世界食糧賞を受賞した。彼は、国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)でNormal Borlaug博士と一緒に働いた。

アフリカ

ケニアの国会議員がGMO禁止を見直す政府案を承認

 Kareke Mbiuki氏(副議長、農業委員会)、Florence Mutua (農業委員会委員)、Robert Pukose氏(副議長、衛生委員会)とJames Wandayi (農業委員会委員)の4人のケニアの国会議員が遺伝子組換え作物(GMO)の禁止を見直す政府案の承認を支持すると表明した。

 2015年8月26日の記者会見で、Mbiuki氏は、バイオテクノロジーに関する総合的誤報につながっているGMOに関する知識の欠如を慨嘆した。彼は、同僚とともに行った欧州連合(EU)のGMOおよび栽培農家の状況の視察ツアーに関して以下のように語った。「ヨーロッパへの旅でGMOの安全性と利用についての詳細を知ることができた。GMトウモロコシ、ダイズ、油糧種子、テンサイやワタなど、食品および飼料用として少なくとも58作物が欧州で承認されている。私たちが会った農家は、『長年にわたってGM作物を栽培してきたが、悪影響は全くない』と語った」「私たちは、科学者でもある副大統領による、GMO禁止を見直す案を全面的に支持する」とMbiuki氏が語り、BtワタとBtトウモロコシなどのGM作物を供給することには緊急性があると強調した。

 さらに、「GMO禁止の見直しは、青少年のための仕事を増やすことを意味している。さらに、Btワタと他の農業技術を導入することは、繊維産業の復活につながる」と述べた。Wandayi氏は、「ケニアが技術を拒否し、または隔離されて存在することはできない」と語り、「南アフリカ、ブルキナファソ、スーダンのような他の国がバイオテクノロジーを導入している中で、ケニアが取り残されてはならない。また、ケニヤがその利用を承認しないために、学生がバイオテクノロジーを学んでいることを無駄にしてはならない」と付け加えた。

ケニアの農家はGMO禁止を見直す政府案を支持

 ケニアの地方部の農家と若者が、遺伝子組換え(GM)食品の輸入を解禁する政府案の支持を表明した。 KerichoとUasin Gishu郡内のGM作物に関する問題に関心を持たせるための組織的な動きで、政府が今後数週間でGMOの禁止を解除すると発表した副大統領案を農家は支持すると述べた。彼らは政府がバイオテクノロジー研究に多額の投資を行ってきたことを指摘し、「これは若い人たちの雇用創出につながるものであり、GMOの解禁を迅速に行い、我々が技術を利用できるようになることを政府に願う」と述べた。

 Kericho郡のPaul Chepkwony知事は、「この郡は農業バイオテクノロジーを受け入れる準備ができており、農家が情報に基づいた選択を行えることを保証するためにもっと広報活動をすべきだ」と述べた。さらに「アフリカは、食料安全保障の多くの課題に直面しており、その解決にはと遺伝子工学が必須である」と追加した。

 この行事は、アフリカでの農業バイオテクノロジーオープンフォーラム(OFAB-ケニア)が主催し、穀物生産者協会(CGA)および他のパートナーと共同企画で行われた。

南北アメリカ

米国農務省、Simplot社のGMポテトを承認

 米国農務省(USDA)は、米J.R. Simplot社のInnateポテト(Russet Burbank系統W8と命名)を承認した。これは、遺伝操作した疫病抵抗性、低アクリルアミド、打撲による黒点あざ抑制、還元糖低下を実現した品種である。疫病は、19世紀半ばにアイルランドのジャガイモ飢饉を引き起こし、まだ世界中の作物を脅かしている植物病である。

 米国農務省動植物衛生検査局(USDA APHIS)は、簡潔報告書で「規制外と決定した」と発表した。USDA APHISは、この決定は、J.R. Simplot社からの申立てデータ、入手可能な科学的データの分析、非規制申請、環境影響評価、植物の病害虫リスク評価を公表した文書に対するパブリックコメントに基づいたものである。

 公表文書、関係者への公開文書、規制外決定連邦文書、最終環境評価、最終植物リスク評価を含む最終文書類は、USDA APHISのサイトにある。

遺伝子工学により癌治療薬の生産植物を作製

 米Stanford Universityの科学者たちは、絶滅危惧植物であるヒマラヤのmayapple(Podophyllum hexandrum)から抗腫瘍活性を持つ化合物を単離し、遺伝子工学を用いて一般的な実験植物でるタバコ(Nicotiana benthamiana)がこの抗癌化合物を生産できるようにした。本研究は、抗癌剤をより安く、より安定した資源から生産できる可能性を示すものである。

 ある種の植物においては、捕食者から化学的防御をするために、様々な蛋白質や化合物が働いている。この化学防御を再現するために、タバコでエトポシドと呼ばれる抗癌剤を生産できるようにした。エトポシド合成の出発材料は葉に存在する無害な分子だが、捕食者が植物を攻撃すると無害な分子は別のものに変換され、植物の化学防御物質になる。研究者らは、葉を傷つけると31種の新規な蛋白質が産生されることを発見した。その後、最終的に10種の蛋白質が化学防御に関わる化合物の生産に不可欠であることを突き止めた。タバコにそれらの蛋白質の遺伝子を導入すると、エトポシドの生産を開始した。次のステップは、研究室内で大量増殖可能な酵母で化合物を生産することである。

アジア・太平洋

インドの元農相がGM作物の圃場試験開始を提案

 インドの元農相大臣Sharad Pawar氏は、遺伝子組換え(GM)作物の圃場試験開始を提案し、Narendra Modi首相を訪問してGM作物に関する政策がまひ状態にあることや規制の不明確さをはっきりさせるように呼びかけた。Pawar氏は、「インドにおいてBtナスやBtトウモロコシなどのGM作物は開放栽培の準備ができているが、他のGM作物の圃場試験が停止されている」と説明し、「なぜ研究や試験を止めるのか。特定のGM作物が他の作物またはヒト、動物、土壌、水や環境に問題を起こしているなら、明確な理由を示すべきだ。現状では圃場試験を許可しないのと同じだ」と強調した。

 Pawar氏はModi首相に、「無異議証明(no-objection certificate、NOC)は不要であり、これが農業バイオテクノロジー部門の成長を窒息させている」と疑問を提示し、「農業分野での革新的な研究を可能にするプロセスを促進して、規制システムをNOC導入以前に戻すか、NOCの付与のためのプロセスを容易にし、その安全性、有効性と実効性を大規模な作付けで確認し、意思決定できるよう、首相の即時介入を求める」という書簡を首相宛てに送った。

 Pawar氏は、NOC要件は「退行ではない」としながらも、それが「州レベルでの厳格な評価において客観的、科学に基本としたものではなく、社会政治的プロセスとなっている」と述べた。彼はまた、圃場試験を進める前に当該州政府からNOCを取得しなければならないことに懸念を示し、このルールを廃止することを呼びかけた。さらに、「試験すべき新しいGMの技術は、国家の食糧安全保障に不可欠である豆類と油糧種子である。このような技術の利点と適用は、試験によってのみ確かめられるものであり、迅速に取り込まれ、奨励する必要がある」などと述べた。

インドにおけるBtナスの規制の閉塞性を除くよう科学者が要請

 ベルギーのGhent UniversityとインドのChaudhary Charan Singh Universityの研究者らは、遺伝子組換え(GM)作物に関する科学的根拠に基づく規制と、広くGMを悪魔化しようとする活動家による意図的な誤報に対抗するためのリポートを、Nature Biotechnologyに発表した。研究者は、インドでのBtナスの当面の禁止措置(モラトリアム)はGM作物の利用に大きな影響があると述べた。記事では、Btナス(Bt brinjal)の開発、固有の圃場試験は、様々の規制に妨げられ、2010年2月9日のインド環境森林省(MOEF)による商業的利用モラトリアムにより、困難な状況は頂点に達したと指摘している。

ベトナム、海外企業によるGMトウモロコシ市場参入をライセンス制に
 企業が今後4、5年後にベトナムで遺伝子組換え(GM)トウモロコシを販売するために、ライセンス取得を必要とするようにする。この要請は、ベトナムでのGM作物の制御と他の国へのGM種子の輸入依存を回避するためのガイドラインを起草しているとしているとの農業・農村開発省の配布文書に言及されている。

 2015年3月に、ベトナムの農業・農村開発省はスイスSyngenta社が開発したGMトウモロコシ品種NK66 BT、NK66 GT、およびNK66 BT/ GTの商業栽培を承認した。Syngenta社によれば、ベトナムでの長期投資の一環として、農業・農村開発省の要請に従うとしている。

中国農業省、政府がGM食品を安全と認定したと発表

 中国の農業省はウェブサイトを通じ、中国市場で認定を受けて販売されている全ての遺伝子組換え(GM)食品が安全であるという声明を発表した。同省によると、中国政府は研究、生産、取引を含め、GM製品の完全なチェーンをカバーする安全監視システムを確立している。

 同省は、GM製品とその検査技術の制度を改善する目的で、他部門と連携し、GM食品の安全性の向上の管理に関する中国のトップの政治諮問機関からの質問に回答した。同省のウェブサイトに掲載された回答には、中国やその他の国がGM食品の安全性の研究を多数行い、従来の食品と同等の安全性であると証明されているとある。

 「GM食品の安全性に関する国際的な結論は、安全性評価に合格し、安全と認定されたものは全て安全であるということだ。世界保健機関による結論は、政府当局が承認しているGM食品を消費している世界中のあらゆる人々に何ら健康被害が見られていないということである」と付け加えた。

韓国Park大統領、「農業を基幹産業に」と呼び掛け
 韓国のPark Geun-hye大統領は、情報技術(IT)やバイオテクノロジーを統合することにより、農業を国の基幹産業とする努力をするよう呼び掛けた。大統領は、開かれた市場と高齢化社会の時代に、韓国が急速に変化する農業環境におけるチャンスを求めるべきであると述べた。

 2015年8月28日にソウルでの農業展示「2015ファームショー」の開会式でPark大統領は、「世界の食品産業は、ITと自動車産業を合わせたものよりも多くの額を農業に投資している」と述べた。続けて、「政府の支援を約束し、IT、バイオテクノロジー、および食品加工技術を一緒にして、生産性と市場性を高め、農業部門へのより多くの若い韓国人を引き付けるようにする」と述べた。

GE作物は食品の需要を満たすために不可欠と南アジアの専門家

 2015年9月19日、20日の両日、バングラデシュのバングラデシュ農業研究協議会(BARC)センターで開催された第3回南アジアバイオセーフティ会議(SABC)に参加した専門家らは、農作物の収量を増加し、人口増加に対処するためにも遺伝子工学作物は必須であると述べた。

 会議の中で、科学バングラデシュアカデミー(BAS)のMesbahuddin Ahmad会長は、「遺伝子組換え(GE)作物は、安全であり食料需要の増加を満たすための唯一の答えである」と強調した。また、環境森林省のKamal Uddin Ahmed長官は、「科学的な情報と研究の知見はその安全性を証明しており、GE作物についての不安を払拭すべきだ」と呼び掛けた。
 南アジアにおけるバイオテクノロジーの規制、栄養的に強化された作物の安全性評価、およびバイオテクノロジーの研究開発に関するセッションが会議中に開催された。この会議は、東南アジアバイオセーフティプログラム(SABP)が、BAS、環境局(DoE)、(BARC)、バイオテクノロジーコンソーシアムインド社(BCIL)、農業科学アカデミー(NAAS)、インドとの共同で組織した。

オーストラリアの裁判所でGE作物農家が勝訴

 オーストラリアの高等裁判所は、遺伝子組換え(GE)作物を栽培する農家が、近くの有機農家に対応するために、その事業が限定されるものではないと判決を下した。有機農家は、隣人の農家がGEキャノーラを植えたために有機認証を取り消されたとして訴訟を提起した。裁判所によると、有機農家は近隣の農場まで自分の権利を拡張する権利はないとしている。

 米国の団体である米国保健科学協議会(ASCH)は、オーストラリアにおける裁判所の決定を称賛した。「隣人の有機作物のために最新の農業技術を使うことが制限されるのは、農家にとって理不尽なことである。従来の農家が隣人の有機作物に殺虫剤や化学肥料を散布することは養護されない。しかし、風による拡散を制御することは完全に不合理である」とACSHRuth Kavaシニア栄養フェローは述べている。

ヨーロッパ

遺伝子スタッキングで、より良い疫病抵抗性ジャガイモを開発

 Ghent University、VIB、農業水産研究所(ILVO)とこれらのパートナーの科学者は、Crop Protection誌に遺伝子組換え(GM)ジャガイモ圃場試験の結果を発表した。GMジャガイモの圃場試験は、ベルギーとオランダでPhytophthora infestansによって引き起こされる疫病に対して1個から3個の抵抗性遺伝子を加えることの有効性を試験した。結果は、試験した様々な遺伝子が、異なる面から抵抗性の獲得に寄与していることが示された。疫病に最も抵抗性を示したのは、Solanum venturii、Solanum stoloniferum、Solanum bulbocastanumからの遺伝子のスタックだった。

 調査結果に基づいて、研究者らは少なくとも3つの自然耐性遺伝子を組合わせることに焦点を当てる必要があると結論付けた。ただし、4、5個を組み合わせた方がよい可能性もある。また、耐性遺伝子はそれぞれが全く異なっていることが重要で、持続的な耐性管理のためには戦略的に新品種における遺伝子の組合わせを変更する必要もあるとしている。欧州委員会の農業委員会、政府によるGM食品・飼料の輸入禁止に反対

 欧州委員会の農業委員会は、加盟国に自国におけるEU承認の遺伝子組換え(GM)食品または飼料の使用を制限または禁止する力を与えるという法案を拒否した。いずれかの国で禁止されると、欧州連合(EU)を単一市場とする概念をゆがめるとともに、GM飼料の輸入に大きく依存しているEUの食糧生産部門を危険にさらすことになることを恐れているからである。

 賛成28票、反対8、棄権6で、採択された農業委員会の意見は今後、環境委員会によって詳細に検討され、この件を主導することになる。

 「欧州委員会の提案は、加盟国が自国でのGM食品の使用を制限または禁止するかどうかを決定できるようにすることを拒否するもので、農業委員会の投票はそのメッセージを明確に送ったものである。任意の政治的決定が、EUの単一市場概念を歪曲することを危惧する」と、意見創案者のAlbert Dess氏は述べた。Dess氏はさらに、「欧州委員会のアプローチは、EUの多くのセクターが大幅にGM飼料の輸入に依存しているにもかかわらず、それが禁止されると生き残れなくなり、完全に非現実的である」と付け加えた。

EU規制当局と食品業者が利用できるオンラインGM作物データベース

 EUが資金提供しているMARLONプロジェクトの一環で遺伝子組換え(GM)作物の家畜動物への健康影響を監視するための検索可能なデータが含むIPAFEEDデータベースが作られた。プロジェクトは、健康上のリスクを早期にかつ効果的に識別することで規制当局や食品サプライチェーンを支援することを目指している。

 MARLONプロジェクトは、動物飼料のGM作物に関する知見を統合することに焦点を当てた。IPAFEEDデータベースは、それぞれの研究の詳細な記載、取得可能な結果の遡及とその原典へのリンクできるようになっている。データベースは定期的に更新され、2015年7月に完了した。研究者はまた、動物の健康指標に関する情報と照合できる。 GM飼料を接種した動物の健康状態を監視するのに役立つツールやガイドラインも同様に開発されている。

 規制当局と欧州農業の両方のための役に立つニュースである。長期的かつ多世代飼育試験から収集したデータからは、GM飼料によって引き起こされた健康への有害な影響は全くなく、それどころか幾つかの研究はよい影響が見られている。

 EUは、GM由来製品が、様々の安全性評価に合格すると承認するが、規制当局は、まだ市販前の仮定を検証する手段として、市販後の監視が必要とするかもしれない。このようなことはまだGM動物の飼料に課されていないが、MARLONコンソーシアムは、欧州農業は、資料の中のGM内容物を詳細に監視する手段をとるかもしれない。

GM植物、食中毒排除を助ける
ドイツのNomad Bioscience and Icon Genetics社の研究者のチームが食品由来疾患と戦う新たな戦略を明らかにした。新たな戦略は、抗菌性蛋白質を産生するように遺伝子操作した植物を用いるもので、その蛋白質を抽出し汚染された肉に適用して製造するものである。

 チームは、タバコ、ビート、ホウレンソウ、チコリ、レタスを遺伝子操作して、大腸菌を殺すコリシンと呼ばれる蛋白質を生成できるようにした。タバコのような植物が、活性のあるコリシンを高いレベルで生産し、2つのコリシンの混合物が同定され、これが主な病原性大腸菌を全て殺すことができることを示した。

 コリシンは非常に強力で、科学者たちはこの蛋白質が食品の処理のために経済的に実行可能な方法になると信じている。Nomad Bioscience社社長のYuri Gleba氏は、「コリシンは、通常の抗生物質よりも細菌に対して50倍以上の活性がある」と述べた。研究でGleba氏と共同研究者は、キログラム当たり2種類のコリシン混合物4mgを、大腸菌混入ポークステーキに噴霧し、わずか1時間後に大腸菌の大幅な減少を見いだした。

文献備忘録

ISAAAがブックレット「ポケットK」を改訂

 ポケットKはバイオテクに関する知識(ナレッジ)を集積したブックレットで、遺伝子組換え製品および関連する課題についてISAAAのグローバルナレッジセンターが作成し、簡単に配布や共有できるようにPDFでダウンロードできるようになっている。

以下のポケットKの最新版が、ダウンロードできる。

遺伝子組換え作物についてのQ&A
バイオテクノロジー植物製品
GM作物と環境
GM作物のメリット
Bt害虫抵抗性技術

「国別バイオテクの現状と動向」

 ISAAAは、「国別バイオテクの現状と動向」の第2弾を出版した。このセットは、ブルキナファソ、ミャンマー、メキシコ、コロンビア、スーダンの5つの途上国についてのもの。「国別バイオテクの現状と動向」は、各国における遺伝子組換え(GM)作物の商業化状況を要約したものである。

 GM作物の商業化(ヘクタール数と導入)、承認および栽培、ベネフィットと将来の見通しに関するデータを簡単かつ分かりやすくまとめてある。内容は、ISAAAの創設者で名誉理事長のClive James氏が著したISAAA概要49:遺伝子組換え作物の商業化2014に基づいている。
国別バイオテクの現状と動向は、以下のサイトからダウンロードできる。 http://www.isaaa.org/resources/publications/biotech_country_facts_and_trends/default.asp.

「遺伝子組換え作物最新年次報告書」
ISAAAは、「遺伝子組換え作物最新年次報告書」を出版した。このシリーズは、5つの遺伝子組換え作物、即ちダイズ、トウモロコシ、ワタ、カノーラ、アルファルファについてのまとめである。このシリーズには、遺伝子組換え作物に基づいて、導入に関するデータ、導入国、および各遺伝子組換え作物のベネフィットを記載してある。これは、ISAAA創設者・名誉理事長のClive James氏が著した「遺伝子組換え作物の商業化2014に基づいている。
この出版物は、以下のサイトからダウンロードできる。 http://www.isaaa.org/resources/publications/biotech_crop_annual_update/default.asp

「遺伝子組換え作物品種別最新年次報告書2014」と「最新版ポケットK」
 ISAAAは「遺伝子組換え作物品種別最新年次報告書2014」(遺伝子組換え作物品種開発の概要)を出版した。出版物には、それぞれの品種の持つメリットについての短い説明がついている。

 出版物は、以下のサイトから入手できる。http://www.isaaa.org/resources/publications/biotech_traits_annual_updates/download/default.asp

 また、以下のポケットKの最新版も入手可能である。
・除草剤耐性技術:グリホサート及びグルホシネート
・畜産部門へのGM技術の貢献
・遅延登熟技術
・遺伝子工学とGM作物
・貧困と飢餓の緩和に対する農業バイオテクノロジーの貢献