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 【日経バイオテク/機能性食品メール】
   【2015.9.11 Vol.204】
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 原則として毎週金曜日に「日経バイオテク/機能性食品メール」をお届けしております日経バイオテクの河田孝雄です。

 まずは恒例の機能性表示食品の届出書受理情報から。この1週間では、火曜日(9月8日)と水曜日(9月9日)に更新がありました。

 この中で注目は、機能性表示食品の制度で初めて、生鮮食品の届け出が受理されたことです。ミカンは、秋の収穫期に間に合うように手続きを進めていることは聞いておりました。農林水産省の肝いりで、届け出に向けた研究レビューなどが実施されました。

 一方、モヤシを届け出したのは、岐阜県中津川市に本社があるサラダコスモ。初の生鮮食品の届け出受理で、国のプロジェクト推進のミカンと同着、というのは立派です。

[2015-9-8]
機能性表示食品で初の生鮮食品、
βクリプトキサンチンのミカンとイソフラボンのモヤシ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150908/187285/

 モヤシは生育環境を整えた工場的な施設で栽培しますので、生鮮食品の中では工業製品に近い。品質管理もしやすいかと思います。サラダコスモは、FSSC22000に準じた衛生管理を実施し、年間を通じ温度管理された散水条件で栽培し、専用の洗浄ラインで洗浄・混合して均質化するなど、生鮮食品の均質性を保つための管理体制を敷いています。

 これに比べ、露地栽培のミカンは衛生や均質性の管理で、一般の加工食品とは大きく異なる工夫がたくさん盛り込まれています。「三ヶ日みかん管理マニュアル」や、ミカンの選果場としては日本一の規模という柑橘選果場の選果システムと連携した独自情報管理システムを導入して、全圃場の栽培状況を把握し、品質管理を実施しています。

 三ヶ日みかんの商品名(通称名)は、出荷時期により変わるのですね。11月上旬から12月下旬までは「三ヶ日みかん」ですが、この後は翌年4月までに、次々と名前が変わります。三ヶ日みかんの後に次の名が付きます。「ミカエース」「心」「和み」「青島」「青島ミカエース」「濃密青島」「寿太郎」「青島誉れ」。

 1日あたりの目安量は可食部270g(約3個)。このうちに、機能性関与成分のβクリプトキサンチンが3mg含まれることを担保するためのシステムを構築しています。

 一方のサラダコスモは、機能性関与成分が、大豆イソフラボンという点にも注目です。06年5月に食品安全委員会が大豆イソフラボンの安全な1日摂取目安量の上限を1日当たり70~75mg、特定保健用食品(トクホ)として摂取する場合の安全な上乗せ摂取量の上限をアグリコン換算で1日当たり30mgに設定したことが、大きな社会問題にもなりました。それから9年余りが経過しました。

[2006-4-21]
日健栄協、食品安全委員会の大豆イソフラボン安全性評価(案)に対し懸念、
疑問の意見書を4月3日に提出
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2003/6070/

[2006-4-14]
食品安全委員会、大豆イソフラボンの安全性評価(案)に対する
パブリックコメントは100通前後、新開発食品特別調査会の案件で異例の多さ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2003/5960/

 サラダコスモの「大豆イソフラボン子大豆もやし」の1日推奨摂取量である200gに含まれるイソフラボン量は56mg、アグリコン換算で36mgであり、加熱調理により含有量が若干減少することも考慮すれば、トクホの基準と同等レベルであり安全性は高いと、同社は評価しています。

 機能性表示食品の届け出受理は、この生鮮2件を含め9月8日に4件、翌9月9日に4件あり、合計86件になりました。

 新たな機能性関与成分は、コレステロール高め対策の松樹皮由来プロシアニジン(A81、東洋新薬のサプリメント「メディコレス」)、血圧高め対策のαリノレン酸(A82、日清オイリオグループの食用油「日清健康オイル アマニプラス」)、身体的疲労対策の還元型コエンザイムQ10(A84、森下仁丹のサプリメント)と、盛りだくさんでした。

 東洋新薬の独自素材フラバンジェノール、日清オイリオのアマニ油、カネカの還元型CoQ10は、いずれも各社の有力素材です。

 メール原稿の締め切り時間になりました。最後に、今日14時から農林水産省で説明会があった研究会の報告書「ゲノム編集技術等の新たな育種技術(NPBT)を用いた農作物の開発・実用化に向けて」の話題をお届けします。

[2015-9-11]
農水省農林水産技術会議、新たな育種技術研究会の報告書を公表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150911/187342/

 ゲノム編集技術のタイプを、SDN-1、SDN-2、SDN-3の3タイプに分け、このうち数塩基程度の変異を誘発させるSDN-1とSDN2については、「作出された農作物が最終的に人工制限酵素遺伝子(外来遺伝子)を有していないことを確認できれば、慣行の突然変異育種法によって作出される農作物とみなすことができるため、特段、生物多様性影響に関し、懸念すべき事項はないと」と、研究会は判断しました。

 上記の3タイプは、「ゲノム上の標的部位で切断された2本鎖DNAが、宿主の細胞中で修復される過程」を経た結果、どうなるかによって分けられます。

 SDN-1は、修復でエラーが生じて1または数塩基程度のランダムな変異(塩基の置換または挿入、欠失)が発生することを期待するタイプ。

 SDN-2は、標的となる塩基配列に相同的な短いDNA断片(鋳型)を人為的に合成して切断の際に人工制限酵素と合わせて導入することにより、1または数塩基程度の変異を計画的に誘発させるタイプ。

 そしてSDN-3は、数千塩基対程度のトランスジーン(交雑可能な同種または近縁種由来ではない遺伝子)を含む長いDNA断片を相同な配列で挟む形で導入することにより、ゲノム上の標的部位に当該DNA断片を形成させるタイプ。

 健康などに寄与する機能性成分を増やしたり、好ましくない成分を減らしたりという成分育種で、このようなゲノム編集技術がこれから活躍すること、間違いなしです。

 ぜひ報告書で詳細をご覧ください。

http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/150911.htm

 この他、今週は日本育種学会や、ヒアルロン酸機能性研究会の記事をまとめました。

筑波大と東大、京大、トヨタなど、ゲノミックセレクションでソバの収量性1.5倍に、育種学会で発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150908/187283/

ヒアルロン酸機能性研究会第1回学術大会に160人、阿南久・元消費者庁長官が基調講演https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150911/187318/