こんにちは、バイオテク編集の高橋厚妃です。先週の土曜日と日曜日は、ノバルティス科学振興財団とノバルティスファーマが主催する「バイオキャンプ」を取材しました。バイオキャンプは、2005年から開催されており、バイオテクノロジーなどのライフサイエンス、事業経営、ITなどを専攻している大学生や大学院生、研究者などを対象にしたグローバルな人材を育成するための2泊3日のワークショップです(http://www.biocamp.jp/japan/index.html)。参加者たちはグループに分かれ、ライフサイエンス分野の新規事業を考えるグループワークを行い、融資を受けるという設定で新規事業のビジネスプランについて発表します。発表した内容は、審査員たちから新規性と事業性の観点から評価を受けます。素晴らしい提案を行ったグループにはグループ賞が送られるほか、グループワークを通してチームへの貢献やリーダーシップなどが認められ、個人賞を受賞した場合は、スイスで開催される国際大会(International BioCamp)への切符を手にできます。

 このワークショップの過去の参加者の中には、研究者になる以外の将来の選択肢があることに気付き、現在は医療やバイオのスタートアップ企業に投資を行うビジネスなどを手掛けている人もいます。このワークショップが人生を変える1つのきっかけとなることもあるようです。

 ワークショップを傍聴していて感じたのは、異分野と融合できる20代の研究者たちの柔軟さです。自分の専門とは異なる別分野の専門家と話すことは時に大きな勇気が必要です。しかし、ライフサイエンスや経営、ITなどの背景が異なる人々と協力し、興味を広げてチームで話し合い(全て英語で)、新規の事業を生み出す姿に感銘を受けました。発表での質疑応答では、新規事業のコアの技術についてのみならず、事業価値や実現性についての質問が相次ぎました。誰を対象とした事業なのか、どこで製造するのか、幾らの投資が必要か、事業を開始するまでの今後のスケジュールはどうなっているのかなどです。研究に邁進しているだけでは、これらに答えるのは簡単なことではありません。自分の視野を広げるか、その手の専門家と協力しなければ答えは出ないものでしょう。自分の興味をより深く探求していくことと同様に、自分の興味を横方向に広げていくことが新規事業を生み出すために必要だと改めて考えさせられました。

 また、取材中にはこんな一幕もありました。バイオキャンプには、グループワークで先導役を担ったり、発表された新規事業の内容を審査するファシリテーターたちが参加していました。ファシリテーターたちは、バイオキャンプの最終日、参加者たちに対して、一読に値する本を紹介。その中の一人の方が、米Amgen社の経営について書かれている弊社発行の「世界最高のバイオテク企業」を推薦していたのです。

 念のため付け加えさせていただくと、そのファシリテーターと弊社、さらにノバルティスファーマなどとは利害関係は何もありません。推薦理由を尋ねてみると、「バイオベンチャーを立ち上げて成功させるプロセスにおいて、サイエンスだけでなく資金調達などの苦労も含めたありのままがとても読みやすく描かれているからです。あれを読めば、バイオベンチャー立ち上げるというのはどういうことか、サイエンスがバックグラウンドの方々にも易しく伝わると思いました」とのこと。

 なるほど。編集部での通称Amgen本が、次世代の研究者たちに向けて推薦され、お役に立てることを嬉しく思います。バイオキャンプと同様に、この一冊が、若き研究者たちの新たな気付きのきっかけとなれば幸いです(https://bio.nikkeibp.co.jp/article/information/20150406/183745/)。