アグリバイオ最新情報【2015年6月30日】のハイライト
       ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表
6月のハイライト

 国連食料および農業機構(FAO)の「2015年世界食料不安報告書」の最新版によると飢餓人口は、1990年代初めに記録されていた数より2.16億人下がり、約7.95億人にまで世界的に減少している。これは、ミレニアム開発目標(MDG1)と飢餓克服世界食糧サミットの成果であるとしている。また1990年から2015年に総人口における栄養不足の人口割合を半減したことになる。

 遺伝子組換え作物の導入により、多様性が失われると懸念されてきたが、導入の初期は品種も少なくその傾向は確かにあったが、品種が多くなるにつれてむしろ多様性が増加することがインドのワタの研究から明らかとなった。

 世界的種子市場は、2015年から2020年まで9.4%の年間成長率でみると2020年には92億40万米ドルに達すると予想される。また、現在は北米が圧倒的に市場を席巻しているが、今後は、人口が多いアジア太平洋地域が急成長を遂げると予想している。

 世界のバイオテクノロジー分野での影響力のある人物100人が選ばれた。遺伝子組換え分野では、Bill and Melinda Gates FoundationのBillとMelinda Gates氏、ISAAAの創設者で名誉理事長のClive James氏、Cairo University 及び Egypt Biotechnology Information CenterのNaglaa Abdallah氏、Malaysian Biotechnology Information CenterのMahaletchumy Arujanan氏、Pennsylvania State UniversityのNina Fedoroff氏、University of California, DavisのNina Fedoroff氏、DuPont社のJudy Wang氏などが選ばれているが、日本からは元武田薬品工業の山田忠孝氏と京都大学の山中伸弥氏が選ばれた。全体としては、その技術や貢献度で日本は世界第3位とのことであるが、それに比して評価が低い。私は、日本人のこの分野に対する関心度と理解度の少なさを危惧している。特に遺伝子組換え作物(新育種技術=MBT、ゲノム編集などを含む)への理解度の不足は目に余るものであると感じている。

 米国食品医薬品局(FDA)は、高ガンマリノレン酸(GLA)ベニバナ種子の動物飼料への使用を承認した。これも大きな進歩と感じている。心疾患の予防を考えると極めて重要なことである。

 EuropaBioが、EU機関に欧州委員会のGM製品の使用か不使用かを決める権限をそれぞれの各加盟国に与えるという提案を拒否するように呼びかけたことは、EUの中に正しい見解を持つ人がいることの証と感じている。これに対して我が国の農水省を始めとするこの分野での自然科学的にも社会科学的にも重要な提言や政策でてこないことを懸念している。

世界

国連のレポート:飢餓人口がより少なくなった
研究報告:遺伝子組換え(GM)作物は、農業生物多様性の保全に役立っている
2020年における世界的種子市場の動向予測

Scientific American 誌が2015年のバイオテクノロジーにおける最も影響力のある
100人を取り上げた

アフリカ
アフリカのエキスパートがMDG 2015報告書に批准
バイオテクノロジー専門家は、GM製品規制に関するより強力な協同を呼びかけた

南北アメリカ
米国雑草学会(WSSA)は、除草剤抵抗性管理のための地域に基本をおいた方策を促進
米国FDAは、高ガンマリノレン酸(GLA)ベニバナの飼料利用を承認

アジア・太平洋地域
フィリピン作物科学学会連合(FCSSP)が第23回科学会議開催
INDOBICは、インドネシアにおけるグリホサートの安全な使用の履歴に関する一連の
集中議論(Focus Group Discussions 、FGDS)を実施
APECは、アグリバイオテックと科学コミュニケーションについての議論をリード
APECメンバー経済部門は、意思決定プロセスにおける科学コムニケーション(SCICOM)
の重要性を認識
イランは、Btワタを生産する

ヨーロッパ
GM製品の輸入に関するEUROPABIOの立場
トルコの畜産協会は38遺伝子組換え品種の承認を要望
遺伝子組換え(GM)技術は、重要なツールであるとアイルランド国会が表明

研究
γアミノ酪酸(GABA)-強化米の圃場試験と給餌研究

文献備忘録
ISAAAは、50冊目のPOCKET Kを発行
引用する価値のある引用:なぜBIOTEC

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2015年6月30日】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150709/186168/