アグリバイオ最新情報【2015年5月31日】のハイライトISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

5月のハイライト

 国際連合食糧農業機関(FAO)の局長Jose Graziano da Silva氏がイスタンブールでの会合で、遺伝子組換え作物の重要性を強調した。2050年に90億人に達すると予想される世界人口の食料と栄養のニーズを満たす方策を議論した。FAOの推計によると、成長を養うためには世界の食糧供給を60%増加させる必要がある。このためには、遺伝子組換え作物が最重要となるのは当然である。また、PG Economics紙の報告書によれば、遺伝子組換え作物は、発展途上国の農業生産者により少ない資源でより成長するために経済的および環境上のベネフィットを提供し続けている。

 米国農務長官Tom Vilsack氏によると米国・EU間のGM作物の規制の違いが、大西洋貿易取引を困難にしているとしている。その上で、「国が政治的あるいは文化的な理由のための製品への障壁を作成している場合には、開放的・自由貿易のシステムを作成することはできない」と、Vilsack氏はEU加盟国政府各自にGM作物に関する規制を与えるとする最近の欧州委員会の提案を指摘して述べた。

 オーストラリア遺伝子技術規制局(OGTR)は、Bayer CropScienceに害虫抵抗性および除草剤耐性の遺伝子組換えワタの圃場試験を承認した。圃場試験は、New South Wales、Queenslandと西オーストラリアで2015年7月から2021年7月にわたって行われる。

 グリホサートに対する耐性を有するスズメノチャヒキ(great brome)の2つの異なる種が近年見いだされている。両方とも耐性植物はグリホサートの標的酵素EPSPSのコピー数を増加している。酵素を増やすことで除草作用を克服している。

 EUが、食品/飼料用10種の新しい遺伝子組換え製品、既存の7製品の更新、2種の遺伝子組換え(GM)切り花(輸入用)を承認した。これらの製品は、欧州食品安全局:European Food Safety Authority (EFSA)の全面的な科学的な評価を得たものであるが、これらの栽培の承認まで含むものではないことは残念なことである。いまだに、政策が科学を越えているように見えるのはいかがなものだろうか?

 ブラジルのFederal University of Santa Catarinaの科学者たちは、その非GM対応マメとGMマメ(EMBRAPA 5.1)のプロテオミクスプロファイルの違いを見るために主成分分析(principal component analysis:PCA)を用いた。これは、これからの食品の安全性をみる上で重要になると予測される。もちろんメタボライトプロファイルを見る重要性も大切と私(冨田)は思っている。

世界

FAOは、持続可能な食料システムを構築するためのG20の努力を讃えた
PG Economics紙:GM作物がプラスの影響を提供し続けると述べた。
国連の報告書によると年末までにMDGの健康に関する目標を達成できるとしている

アフリカ
ケニアの農業生産者が南アフリカGM作物農場を訪問

南北アメリカ
カナダは、輸入GM作物の組換え体低レベル混入(LLP)方針を改訂する
米国農務省(USDA)長官は、米国・EU間貿易交渉を困難視
米国EPAは柑橘類の緑化を防ぐホウレンソウのより広いテストを承認
米国農務省動植物衛生検査局(APHIS)は、GMトウモロコシとワタの草案文書をレビュー
のために公開

アジア・太平洋
パキスタンBtワタ農家の利益コスト率の推定
ISAAAがインドの遺伝子組換えワタに関する報告書を発刊
オーストラリア遺伝子技術規制局(OGTR)はBT-HTワタ圃場試験を承認
除草剤抵抗性メカニズムの発見

EU
EUが、GM製品を承認
シスおよびトランスイネに対するヨーロッパの消費者の購入意欲、willingness-to-pay
(WTP)を評価
欧州食品安全局:European Food Safety Authority (EFSA)の GMO'S ネットワークが
GMOのリスク評価を議論

研究
プロテオミクスによるGMと非GMマメ類の比較
GMOにある標的DNAを分解する遺伝的手法を開発

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2015年5月31日】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150611/185521/