こんにちは。隔週でこのメールマガジンを担当している日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 米Acucela社で取締役選任を巡るゴタゴタが発生していた件は随時、日経バイオテクでお伝えしてきました。同社は慶応大学出身の眼科医、窪田良氏が創業し、世界初のドライ型加齢黄斑変性の治療薬の実用化を目指している創薬ベンチャーです。

 取締役は窪田氏と4人の社外取締役という構成でしたが、12月の取締役会で突如、窪田氏がCEOから退いて会長に就任するという人事が決定されました。何か変だなあと思っていたら、大株主のSBIホールディングスと窪田氏がタッグを組み、社外取締役全員の交代を要求していたことが今年2月に判明。CEOの交代が、実はいわゆるクーデターだったことが明らかになったわけです。

米Acucela社、現経営陣が窪田会長&SBIホールディングスと対立
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150305/182995/

Acucela社とSBIホールディングス、書面による
臨時株主総会開催の要請巡って見解が相違
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150312/183146/

米Acucela社が臨時株主総会開催を通知、創業者窪田氏除く取締役が交代の公算
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150414/183890/

 この対立は、5月1日の株主総会で窪田氏側の提案が可決されたことで決着。窪田氏以外の取締役は交代し、窪田氏はCEOに復帰しました。

米Acucela社が臨時株主総会を開催、経営陣の対立が決着し
創業者の窪田良氏がCEOに復帰
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150506/184400/

 5月18日、日本にやって来ていた窪田氏に会い、話を聞くことができました。

米Acucela社窪田CEO単独インタビュー、
「エミクススタトを仕上げるまでは辞めるわけにはいかなかった」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150520/184971/

米Acucela社窪田氏、「企業買収や導入でパイプラインの拡充図る」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150520/184974/

 今回のゴタゴタですが、経営者に求める資質が日本と米国で異なっていることが原因になっているという印象を受けました。窪田氏がCEOを解任された取締役会では他の取締役が、上場企業のCEOにはCOOを務めていたブライアン・オカラガン氏の方が適しているということを強く主張したそうです。

 オカラガン氏は様々な企業でキャリアを積み、複数の企業でCEOを経験しています。また、MBAホルダーでもあります。米国における、典型的なプロ経営者と言っていいでしょう。それに対して窪田氏はAcucela社を創業する前は、臨床と研究しか経験しておらず、製薬企業などに勤務したことはありませんでした。

 米国の企業にとって、会社のステージに合わせてCEOを取り替えるのは当たり前のこと。米国流の取締役から見れば、そろそろプロ経営者に切り替えるべきだと思えたのでしょう。窪田氏も一連の経緯について、「彼らも取締役として正しいと信じた選択をしたと思う。ただ、誰が今のAcucela社のCEOにふさわしいかについて、私と彼らの間で意見の相違があっただけだ」とさばさばした表情でした。