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 原則として毎週金曜日に「日経バイオテク/機能性食品メール」をお届けしております日経バイオテクの河田孝雄です。

 国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study)の成果が論文発表されたことが、昨日(2015年5月7日)に同センターから発表され、多くの報道がなされています。

 緑茶を習慣的に摂取する群では、男女の全死亡リスクと心疾患による死亡リスク、男性においては脳血管疾患による死亡リスクと呼吸器疾患による死亡リスクが減少しました。緑茶の論文を発表したジャーナルはAnnals Of Epidemiology誌(IF2.145)で、オンライン発表の日付は3月25日でした。

 一方、コーヒーを習慣的に摂取する群では、全死亡リスクと、心疾患による死亡リスク、脳血管疾患による死亡リスク、呼吸器疾患による死亡リスクが減少しました。コーヒーのジャーナルは、American Journal Of Clinical Nutrition誌(IF6.918)で、オンライン発表は3月11日でした。掲載号は5月号です。

 報道のされ方は、緑茶よりもコーヒーの方が目立ったような気がします。緑茶では、男性にのみ認められたリスク減少があるなど、説明が複雑だったことが一因になっているのでは、と思います。また、論文の格という意味では、コーヒー論文のジャーナルの方が、少し上なのかな、とも思います。

※国立がん研究センター 多目的コホート研究(JPHC Study)
2015/05/07 緑茶と死亡・死因別死亡、コーヒーと死亡・死因別死亡について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/745/3533.html

※緑茶
Ann Epidemiol. 2015 Mar 25. pii: S1047-2797(15)00096-4.
doi: 10.1016/j.annepidem.2015.03.007. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25900254

※コーヒー
Am J Clin Nutr. 2015 May;101(5):1029-37.
doi: 10.3945/ajcn.114.104273. Epub 2015 Mar 11.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25762807

 食品の健康機能性研究は、まずはこのような疫学研究がありき、とおもうので
す。生活習慣病対策の医薬品の場合は、広く普及して疫学研究に乗るようになる
ことが、いわばゴールといえます。このような意味では、研究の方向性は真逆と
みることができます。

 次の話題は、消費者庁の機能性表示食品です。このところ毎週金曜日が、恒例
のアップデイト日です。

※消費者庁ウェブサイト
食品機能性表示食品の届出情報について
http://www.caa.go.jp/foods/index23.html

 4月17日の第1弾公表で8件、4月24日の第2弾で3件、5月1日の第3弾で9件、そし
て今日(5月8日)は1件でした。これで累計21件。

 今回は、コラーゲンペプチドには、膝関節の曲げ伸ばしを助ける機能がある、
という表示届出が受理されました。

 1日目安量5g中に「コラーゲンペプチド(ヒドロキシプロリン換算)4.0gを含む
キューサイのサプリメント「ヒアルロン酸コラーゲン」について、「関節が気に
なる方に適した食品である」旨の表示が、6月20日から可能になります。

 作用機序の評価では「摂取30分後から血液中にコラーゲンペプチド由来のアミ
ノ酸の他、Pro-Hypを含む種々のペプチドが吸収され、数時間体内を循環するこ
とが分かった」と、「キューサイ 自社エビエンス」の資料を基に記載されてい
ます。

 また、放射性物質でラベルしたPro-Hypをラットに摂取させると30分後には、
関節や骨、皮膚に到達し、その細胞まで分布していることが分かったという論文
も紹介されています。キューサイの研究者が2012年に発表した論文です。

○Biol Pharm Bull. 2012;35(3):422-7.
「Distribution of prolylhydroxyproline and its metabolites after oral
administration in rats.」

 さらに、滑膜細胞株においてPro-Hyp添加によりヒアルロン酸の合成量が増加
し、軟骨成分の合成促進作用を確認したという論文は、2010年発表です。いま調
べたら、明治製菓(当時。現在は明治)Food and Health R&D Laboratoriesの研
究グループの論文でした。

○Biosci Biotechnol Biochem. 2010;74(10):2096-9. Epub 2010 Oct 7.
「Effects of Pro-Hyp, a collagen hydrolysate-derived peptide, on
hyaluronic acid synthesis using in vitro cultured synovium cells and
oral ingestion of collagen hydrolysates in a guinea pig model of
osteoarthritis.」

 最後に、マウス軟骨細胞と共培養した結果、コラーゲンペプチドとPro-Hypは軟
骨細胞の石灰化を抑制し、肥大化軟骨への分化を抑制することを確認しました。
この軟骨細胞の変性を抑制するという論文は09年に発表されました。著者は、城西
大学薬学部医療栄養学科の和田政裕教授(食毒性学研究室)と真野博教授(食品機
能学研究室)らでした。和田さんと真野さんには以前に研究室で取材させていただ
いたことがありますので、現在の役職名を大学のウェブサイトにてただいま確認し
ました。

○Osteoarthritis Cartilage. 2009 Dec;17(12):1620-7.
doi: 10.1016/j.joca.2009.07.001. Epub 2009 Jul 8.
「Chondroprotective effect of the bioactive peptide prolyl-hydroxyproline
in mouse articular cartilage in vitro and in vivo.」

 このように1件ずつ調べていくと、機能性表示食品の届出書には、大学や企業の
多くの研究者の成果が含まれていることが分かります。

 なお、城西大の和田さんのお名前は、この3年ほどのうちに9回、日経バイオテ
クONLINEの記事に登場しています。

富士産業と小林製薬、サラシア属植物の血糖値対策トクホが近く実現へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140708/177503/

森下仁丹が抗加齢医学会で発表、ザクロエキスの健康機能の産学成果を発表、
九大との皮膚老化は優秀演題YIA対象
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140602/176779/

日健栄協の食品機能性評価事業、サラシアはB評価1項目、
HACSはB評価2項目とC評価1項目
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140425/175684/

閣議決定3月末が迫るトクホのヒト試験デザイン明確化、
消費者庁が2月10日に消費者委員会に諮問
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140214/174152/

森下仁丹のザクロエキス、川崎医療福祉大が抗アレルギー、
城西大が抗糖化を学会発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130528/168614/

第5回サラシア属植物シンポで富士フイルムに70人、
京都薬科大学の吉川雅之教授と近畿大学の村岡修教授らが講演
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20121120/164572/

サラシア属植物普及協会が10月1日発足、11月15日にシンポジウム開催
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120928/163470/

森下仁丹がザクロを創立120周年に製品化へ、岡山大や城西大と機能性研究
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120723/162284/

栄養・食糧学会でマテ茶の機能性発表相次ぐ、
城西大は抗肥満、大阪市大はアルコール性肝疾患予防
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20120605/161416/

 メール原稿の締め切り時間になりました。最近の機能性表示食品の記事とメー
ルもあわせてご覧ください。

消費者庁、機能性表示食品の届け出受理公表第1弾は8件、
サプリ6件、飲料2件で生鮮はまだ無し
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150417/183996/

消費者庁、機能性表示食品の公表第2弾は東洋新薬2件とカルピス1件
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150428/184231/

【機能性食品 Vol.186】機能性表示食品の受理公表第3弾で森下仁丹が7件、
アサヒのサプリにはカネカ素材
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150508/184441/

[2015-4-28]
日経バイオテク4月27日号「リポート」、2015年度開始“世界最先端”の制度
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150428/184233/