アグリバイオ最新情報【2015年3月31日】のハイライト
ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

3月のハイライト

 ナイジェリア、タンザニアでバイオセーフイティに関する法が決定され、アフリカでもいよいよ、組換え作物の商業栽培が拡大する基盤が大きく伸長する事になってきた。

 カリフォルニア大学Riverside校(UCR)の科学者によって行われた研究は、GMダイズの種子から製造された遺伝子組換え(GM)ダイズ油は、従来のダイズ油と同じであることを明らかにした。しかもインスリン抵抗性(インスリンを利用できない状態)を生じないという1つの利点があることが分かった。GM由来の油の方がよいということになる。また、アイオワ州立大学(ISU)の経済学者Wallace Hoffman氏が行った新しい研究では、消費者が、癌に関係するとされているアクリルアミドの低下した遺伝子組換え(GM)ジャガイモ製品により多くのお金を支払うことをいとわないことがわかった。これらは、GMのベネフィットを一般市民が認めるようになってきたという大きな進展といえよう。

 元グリーンピースの活動家として、GMに強烈な反対を唱えていたグリーンピースの共同創設者兼グリーンピース元メンバーのPatrick Moore氏が、今やゴールデンライスキャンペーンの委員長と広報担当者として語った。Moore博士は、ゴールデンライスなどの遺伝的に改変された生物(GMO)は害をもたらさないことを確証するとともに、人間もまた両親の遺伝子による遺伝子改変の産物であり、市販の製品は時間をかけて進化してきた最高の遺伝子および形質の組み合わせの結果であると付け加えた。ゴールデンライスは、人体に必要な必須ビタミンであるビタミンAの前駆体であるベータカロチンが入っている以外、今食しているコメと全く同じであると述べた。このように明確に、これまでの自分自身が間違っていたことを認め、GMの有用性を語るのはすばらしいことと考える。なぜ日本にはこのような人物は出ないのだろうか? 全く不可思議である。しかしながら、しばらく前に北海道新聞が組換え作物に関する全くの誤報をある北大名誉教授の言葉を信じてそのまま記事にしたが、間違いということを認め訂正記事を出した。これは、私のしく限り、北海道新聞としては初めてのことだ。前記のPatrick Moore氏に比べると問題にならないほど僅かといえるが、訂正記事を出したことは大きな進歩と言える。これから他のメディアも見習ってもらいたいものである。

 今月の記事には出ていないが、「北海道農業者の会」が発足し、遺伝子組換え作物の試験栽培を実施してほしいとの「要望書」を北海道立総合研究機構に提出した。50人の署名を添えての提出である。50人の農家の耕地面積は約1800ヘクタールとなる。農家の方々がようやく表にでてきたと心より応援したい。この根拠に昨年北海道が行った道民の意識調査で、様々の要件、例えば実用はまだ早いが試験を実施すべきとするようなものも付帯しているが、アンケート結果では試験はやるべきとした人の割合はほぼ80%であった。一方、何らかの不安を持っている人の割合は、80%を少し超えていた。しかし私のみるところでは、この「不安」という言葉は、我が国独特のもので、これを英語に翻訳するのにいつも苦労している。もちろん私の力不足は否めないが、私の以前の職場(北海道大学)で英語を母国語とし、日本語にも堪能な教授の方々にどう翻訳するのかと問い合わせたが、どの方も相当する英語はないとしている。私の理解では、ここでの「不安」は、「根拠のない、特に科学的根拠のない非常に感情的な嫌悪感」と言えるものと言えると思う。従って、この感情を払拭するのは難しいが、科学技術立国を標榜し、教育レベルの高い日本では、よく広報活動を行うことで払拭できるものと思う。

 ローカルなことかもしれないが、北海道知事に高橋はるみ氏が4選された。北海道では初めてのことである。彼女の当選第一声には、「農業をはじめとする第一次産業を第一に考える」とあった。この言葉通りに進めてもらいたいものである。現代農業技術の中で遺伝子組換え品種が極めて大きな役割を果たしていることを理解し、推進してもらいたいものである。

世界

国連首脳会合から:女性農民が食料及び栄養保障達成の鍵である
世界種子市場報告2015が公表された

アフリカ

ナイジェリア上院でバイオセーフティ法案が通った
タンザニアはバイオ規制を最終決定した

南北アメリカ

スマートフォンがGM表示議論を終わらせる
GMダイズ油は従来のダイズ油と同一
米国の消費者は遺伝子組換えジャガイモに多くお金を支払うことをいとわない
TED2015会議で植物遺伝学者が語った
InnateジャガイモとArcticりんごに米国FDAは安全承認を与えた
カナダは北極リンゴの商業販売を承認

アジア・太平洋

フィリピンは、2014年にさらに遺伝子組換え作物導入を拡大
ゴールデンライスはビタミンA欠乏症を克服するために後押しできる
ベトナムはダブルスタックトウモロコシの商業栽培を承認

ヨーロッパ

マックス・プランク研究所の研究者がコロラドハムシを制御する新しい方法を開発
バイオ経済同盟がEUとしての行動を求めた
科学と科学技術委員会は、GM作物のためのEU規則の変更を促した

研究

ピーナッツ遺伝子がタバコの塩分、乾燥ストレスを軽減した

遺伝子組換え作物以外の話題

携帯ゲームはがんの治療法を見つけるのに役立つ
蚊のゲノム編集技術を開発

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2015年3月31日】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150415/183942/