こんにちは、日経バイオテク編集部2年目の高橋です。新年度が始まり2週間経ちました。新しい環境で、新しいことを始められた方も多いのではないでしょうか。変化が無くても、4月は新しいことを始めようという気分になります。私は、今年度は新しく知財戦略の視点を習得しようと考えています。

 先日、ジーンテクノサイエンスの河南雅成社長にお話を伺う機会がありました。同社が、国立がん研究センターの落谷孝広教授らのエクソソームの研究成果に関連して、共同で特許を出願したからです。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150413/183887/

 ジーンテクノサイエンスは、バイオ後発品事業のイメージが先行していたため、「どうして共同でエクソソーム関連の特許を出願したのだろう。エクソソーム関連で国がんと共同研究をしていたのか」と思ったわけです。

 同社はバイオ後発品事業とともにバイオ新薬事業も手掛けています。大学や研究機関、製薬企業などからシーズや技術を導入し、同社で研究開発を行った後、製薬企業にライセンスアウトを行うという方針で事業を進めているとのこと。国立がん研究センターの落谷教授とは、共同研究をしているわけではありませんでしたが、2年ほど前から情報交換を行ってきたそうです。落谷教授から今回の研究成果を聞いた河南社長は、シーズとしての価値を見出し、論文として発表する前に準備を進め、この度の特許の出願となりました。

 河南社長は、「多くの研究成果は、特許を取得せずに、論文として発表されていく。これにより、良いシーズが活用されにくくなり、埋もれていくことを危惧している」と見解を話してくれました。大学や研究機関で得られる知財関連の予算は限られているため、特許を申請するシーズの数は限られます。そこからこぼれ落ちているシーズが多いのではないかという指摘です。情報交換という、人脈の結果が今回の特許出願に辿り着いたことを考えると、企業がアカデミア発のシーズを発掘しやすい体制がまだ十分に確立していないといえるのではないでしょうか。

 実は、アカデミア発のシーズを生かす、という観点で、日経バイオテクONLINEで新連載を開始しました。本日、第1回目を掲載しています。かつて製薬企業の研究者だった、長谷川国際特許事務所の中谷智子弁理士に、「今日から変える!知財との付き合い方」というテーマで連載をお願いしています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150414/183907/

 中谷氏が「本稿では、事業や研究を牽引する方々が知的財産をより大局的見地から理解し、事業化に生かすために、参考となりそうな情報や制度を紹介していきたい。また、我が国に眠る宝の山を産業化につなげるために、大学やベンチャー企業における知財マネジメントの現状を紹介することで、大学やベンチャー企業における知財活用の参考となるのではないかと思う」と述べているように、アカデミアの研究者の方はもちろんのこと企業の方を含め様々な方にお読み頂きたいと思います。そして、情報交換につながったら幸いです。

 私も、中谷氏にお共して大学の技術移転機関(TLO)を訪問し、現状を勉強していく予定です。皆様からの情報もお待ちしております。アカデミア発のシーズを産業化に生かすため、このような視点からでも情報をお送りできればと考えている今日この頃です。