今回、世界中で注目集める免疫チェックポイント阻害薬が抱える課題とその解決法を特集としてまとめました。

日経バイオテク3月30日号「特集」、免疫チェックポイント阻害薬の課題を解決
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150331/183571/

 山口大学免疫学分野教授の玉田耕治氏がまとめられた、免疫チェックポイント阻害薬の有効性が発揮される条件をもとに、世界中で進められている、免疫チェックポイント阻害薬の課題解決のための方策について記事を構成してみました。

 実は、ちょうど一年前、同じく免疫チェックポイント阻害薬をまとめた特集を掲載しています。

日経バイオテク2月17日号「特集」、次世代の免疫療法に期待
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140218/174247/

 このときは、2014年1月にサンフランシスコで開催されたASCO-GU(2014 Genitourinary Cancers Symposium)で、米Harvard Medical School Dana Farber/Harvard Cancer CenterのDavid McDermott氏がされた講演において、McDermott氏が考える、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体承認後の展開を口火として話を展開することも考えていましたが、結局PD-L1発現と奏効に関する話題を中心に記事がまとまった次第です。

 今回の特集で、(やや強引ではありますが)免疫チェックポイント阻害薬承認後の展開について方向性の1つが見えてきたような気がしていますが、今後は、T細胞疲弊はどんな患者に起こっているのか。疲弊が起こっている患者を見出すための臨床症状やバイオマーカーについて追っていければと考えています。皆様、是非、特集をご覧いただき、ご意見、ご批判を頂戴できれば幸いです。

 実は今回の特集を企画するにあたり、選択的免疫抑制についての研究動向も含めて、「選択的免疫制御の妙」(仮)というテーマを掲げて取材を進めていました。1年後に免疫チェックポイント阻害薬承認後の展開をまとめた、というのはやや後付けの理由で、免疫と言うからには賦活だけでなく、免疫抑制についても選択的に制御できてこその免疫、と考えていました。

 実際、IL2やα-GalCerを用いたGVHD治療法の開発やex vivoでのTregの教育などについて取材を進めましたが、

岡山大学松岡氏、慢性GVHDを対象とした低用量IL2による
制御性T細胞刺激の臨床研究を近く開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150227/182862/

レグイミューン、α-GalCerを用いたGVHD予防のフェーズII試験を開始、
投与経路や製剤の違いで免疫寛容と免疫誘導の選択的増強にも期待
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140811/178316/

慶應大吉村氏、ex vivoで抗原特異的に教育したTregが
心臓移植モデルで生着を延長
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150316/183219/

 低分子や抗体などで、in vivoでTregを抗原特異的に教育することは現状では難しいようです。しかし、増えようとしているTregを後押しする治療法については実用化が見えてきているような気がしています。

 一方、炎症が炎症を呼ぶ炎症回路の研究はかなりいろいろなことが明らかになってきています。

北大村上氏、炎症回路を標的とした自己免疫疾患治療薬のスクリーニングを進行中
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150224/182766/

 免疫抑制については、燃えさかっている箇所があるならば全身に冷や水を浴びせるのがいいのか、それとも選択的なTregの誘導とその安定化や選択的なエフェクターT細胞の抑制が可能になっていくのか、継続して追っていきたいと考えています。こちらも皆様のご意見、ご批判など頂戴できれば幸いです。

                         日経バイオテク 加藤勇治