アグリバイオ最新情報【2015年2月28日】のハイライト
ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

2月のハイライト

 世界の遺伝子組換え作物商業栽培面積は1996年当初の170万haから18年連続で増加を続け、2013年にはその100倍以上の1億7500万haに達した。これまでの農業の技術革新の中で最も早く拡がったものである。2月に国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の年次報告書が出版され、同時に我が国を含む各国でメディア向けに、また様々の人々を対象に公開が行われた。来年に商業栽培20周年を迎えるにあたり、今年も大きな飛躍が期待される。

 一方、我が国は、先月書いたように農業が最も大きな産業である北海道でも遺伝子組換え作物商業栽培を原則禁止する条例を今後も維持する決定がなされた。北海道農業の革新が遅れ、取り残される懸念が実際に起こることになりそうである。しかし、試験栽培はやるべしとの意見が79.3%も道庁の調査で出ているので、少なくとも試験は必要との方向にあるように見えるのは、かすかではあるが将来の明かりが見えてきたように思われる。

 今月は、アジアを含む世界各地でのISAAAの報告会の様子が多く見られる。中でも中国は、すでに昨年の中央農村工作会議で、習近平国家主席が、遺伝子組換え作物が最終的に中国で受容され、この技術は、必要な注意が行使される限り、中国で許可されるべきものであると述べた。この文書では、「改革と革新を強化する」ことに重点を置いている。中国は、GM技術について技術研究、安全管理、およびGM技術のより良い国民の意識の強化を行うとしている。1号中央文書は、今年の最初の主要な政策文書を意味し、中国の農業の近代化に焦点を当てている。我が国の行政施策とは全く違うものである。

 韓国では、砂漠化防止対策として遺伝子組換えサツマイモの研究を進めている。干魃耐性作物の育種とともに重要な課題である。

 オーストラリアのUniversity of Adelaideの研究者らが、農業生産者が高塩土壌で栽培できる耐塩性コムギを開発したことも大きな話題と言える。

 米国でカリフォルニア大学RiversideのSean Cutler率いる研究グループが、ABAの非存在下で旱魃下での植物の生存を助ける方策を開発したことも大きな話題と言えよう。また、米国農務省(USDA)動植物健康検査サービス(APHIS)が、遺伝的に改変した褐変抵抗性のリンゴ2種に初めて承認を与えたことともすばらしい成果と言える。

 反面、Pew Research Centerが行った、アメリカ科学振興協会(AAAS)に参加している科学者と一般大衆に対する科学関連の課題についての見解の調査によると、生物医科学について一般大衆と科学者の間に大きなギャップがあることが示されたことは当然とも言えるが、米国でもそうなのかと驚きでもある。つまり、一般大衆の半分以上(57%)は、GM食品は食するには不安全であると言っている。一方、AAAS科学者の大多数(88%)が、GM食品は安全であると言っていることである。

世界

ISAAAが「遺伝子組換え/GM作物の商業化の世界動向:2014」を発表
科学に対する一般大衆と科学者の見解
GM作物の安全性研究に対する利益相反と証拠付け

アフリカ

アフリカの将来に賭ける
エジプトの指導者が遺伝子組換え技術開発を議論
ケニアのワタ農業生産者がGM輸入禁止解禁を請願
研究報告:マラウイ農業生産者が旱魃耐性(DT)トウモロコシ品種を導入
Paterson氏が国際アグリバイオ事業団(ISAAA)報告を南アフリカのPretoria 公表

南北アメリカ

旱魃耐性に向けての植物の再プログラミング
米国ダイズ協会(American Soybean Association 、ASA)は、13種の遺伝子組換えダイズの輸入許可承認の発行をEUに要請
米国農務省(USDA)は、褐変しないARCTICリンゴを承認

アジア・太平洋

オーストラリアが、近くGMカーネーションの輸入を開始
New York University (NYU)教授がゲムおよび進化学の重要性を語った
ヴェトナム、ハノイでの「遺伝子組換え/ GM作物の商業化の世界動向:2014」(ISAAA Brief49)の公表
中国は、GM技術の国民の意識の向上を図っている
韓国科学者たちは砂漠で飼育する遺伝子組換えサツマイモを開発
インドネシアで「遺伝子組換え/ GM作物の商業化の世界動向:2014」を公表
オーストラリアの研究者が耐塩性コムギを開発

ヨーロッパ

研究によると健康上の利点があるGM作物は、大きな市場規模の可能性を秘めている
GMカメリナ;サケ用の安全な飼料

文献備忘録

2014年版ISAAA報告書
遺伝子組換え作物の広報に関するポケットKシリーズが更新された

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2015年2月28日】
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150313/183177/