日東電工が肝硬変を対象に米国でsiRNAのフェーズIbを開始すると、そして第一三共がデュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象としたアンチセンス核酸医薬の治験を2015年度にも開始すると発表するなど、核酸医薬の実用化への機運が高まっています。最近では中外製薬がナノキャリアと、siRNA医薬品に関する癌領域の共同研究契約を締結しました。標的に核酸をデリバリーするために抗体を使うという、新しい発想です。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141006/179407/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141218/181220/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150224/182769/

 核酸医薬はmRNAやmiRNAなど従来狙えない標的分子をターゲットにできる上、化学合成ができるとともに特異性が高いという低分子と抗体の両方の利点を持つことから、ポスト抗体の主力として注目されてきました。

 しかし、世界初の核酸医薬品として1998年に米国で承認されたサイトメガロウイルス(CMV)遺伝子のmRNAを標的としたアンチセンス、FomivirsenはAIDS患者のCMV性網膜炎の治療薬でしたがニーズがなくなり販売中止。2013年には同じく米国でApoB100 mRNAを標的としたアンチセンス、Mipomersenが承認されましたが、販売されているのはまだこれだけにとどまっています。それが今、核酸医薬品の開発が一気に進もうとしているのです。局所投与や核酸医薬品が集積しやすい臓器を対象にしたものから、各臓器へのターゲティングや細胞内へと核酸を移行させる技術の開発も進んでいます。

 そして浮上してきたのが、核酸医薬品の開発・実用化のためのガイドラインが存在しないという、規制面での課題です。品質、有効性、安全性を評価するための試験法も確立していないし、判断基準もまだありません。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140521/176514/

 そんな中、核酸医薬の実用化を視野に入れて、基礎的な技術の検討からレギュラトリーサイエンスまでをカバーする日本核酸医薬学会が、2015年4月に立ち上がります。中心となって準備を進めているうちの1人、九州大学大学院薬学研究院の佐々木茂貴教授はこの学会を、アカデミアだけでなく企業や規制当局も交えて、現実的な話をする場にしたいとおっしゃっています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20150303/182947/

 そして日経バイオテクもこの状況を見据え、「核酸創薬イノベーション」セミナーを3月18日に東京・秋葉原で開催します。「基礎から臨床へのステップ」という副題を付けたこのセミナーでは、佐々木教授に核酸医薬の技術マップをお話いただくとともに、開発、製造、規制それぞれの専門家に、実用化への道筋を語っていただきます。ぜひともご参加下さい。
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/150318/

                       日経バイオテク編集長 関本克宏

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