こんにちは。隔週でこのメールマガジンを担当している日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 那覇空港の喫茶店でこの原稿を書いています。久しぶりに沖縄のバイオベンチャーを取材して回っていました。沖縄科学技術大学院大学(OIST)も訪ねてみました。前回、来たのは開学直前のことだったので、もう5年ほど経過したことになります。

 久しぶりに来たOISTはすっかり研究機関としての貫禄をまとっていました。OISTには日本の研究機関とは思えない雰囲気があります。カフェテリアに行ってみると利用者の7割から8割が外国人、公用語は英語だそうです。外国人PIとも話をしてみたのですが、研究施設だけでなく住環境も含めたサポートはかなり手厚いようで、沖縄での生活を楽しんでいるようでした。

 グローバルスタンダードで研究機関を育てるという当初の目的は、確かに達成されつつあるように見えます。ちなみに、OISTでは大勢の見学者を目にしました。研究コミュニティーに属している方は、機会があれば、一度、訪れてみることをおすすめします。「資金さえあれば日本でもここまでできるんだ」という点を実感できるという意味でも、意義深いものがあります。

 さて、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の妻木範行教授が、Stem Cell Reportsに新たな論文を発表しました。妻木教授は主に、iPS細胞由来軟骨細胞に関する研究を行っています。この論文では、ヒトiPS細胞から硝子軟骨を作製し、ラットやミニブタの関節に移植したところ、うまく生着したことなどが報告されています。移植組織の腫瘍化は起きていません。

 妻木教授には昨年11月に直接、取材する機会がありました。そのとき妻木教授は、そろそろiPS細胞から軟骨細胞へ分化させる技術を確定させなければならないと口にしていました。今回の論文を見ると、BMP2、TGF-β1、GDF5の3因子が必須だということを発見したようです。臨床研究については、まず小さな欠損を持つ患者から始めたいということを話してくれました。4年後の開始が目標という点は、変わっていないようです。