隔週でメルマガを担当しています副編集長の久保田です。今日は国内外でいろいろ気になるニュースがあったのですが、個人的に一番関心のあるものを取り上げたいと思います。

 一般向け(DTC)遺伝子検査サービスの世界的な市場を切り開いてきた米23andMe社の遺伝子検査が、米食品医薬品局(FDA)の承認を獲得しました(510Kクリアランス)。インターネットを通じて検査を申込み、結果を受け取るDTC遺伝子検査サービスが、ついに米国で当局のお墨付きを受けたことになります。

 23andMe社は、数十万カ所のSNPを解析して利用者の体質や疾患易罹患性、薬物応答など数百項目の評価結果を割り出すDTC遺伝子検査サービスを展開。2012年12月には、それまで299ドルだった同サービスを99ドルに大幅値下げし、大きな話題になりました。

 しかし、2013年11月、サービスの一部が疾患の診断に当たるため医療機器の販売許可が必要になるにもかかわらず、申請などを十分行わなかったとして米食品医薬品局(FDA)から警告を受け、サービスは停止に追い込まれていました。2014年12月には、欧州でCEマークを取得し、欧州を拠点にサービスを再開すると発表したものの、米国でFDAの警告にどのように対応するのかは、明らかになってはいませんでした。

 今回、同社が承認を獲得したのは、これまでのサービスの一部を切り出したもの。常染色体劣性の遺伝病であるブルーム症候群のキャリア検査です(single carrier status test only)。ブルーム症候群は、小型の体型や日光過敏性紅斑、免疫不全などをを特徴とし、20歳までに約3割の症例がなんらかの癌腫を発症する疾患。その“診断”ではなく、あくまで発症はしない“キャリア”の判定に、同社の遺伝子検査を利用することを認めたのです。

 FDAは加えて、同様のキャリア検査を今後許可するため、煩雑ではない規制の枠組みを検討している模様。これを皮切りに、品質や精度、根拠などをFDAが一定程度コントロールしつつ、それをクリアしたDTC遺伝子検査サービスが日常生活で活用される場面が増えることは間違いないでしょう。

 FDAは現在、従来規制の対象ではなかった民間の検査サービス企業が開発・販売している自家調製検査法(Laboratory Developed Test:LDT)を、規制対象に取り込みつつあります。米国では歴史的な経緯があり、Clinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA)法に基づいてLDTを保険償還される仕組みが整っているのですが、こうしたLDTについても、監視・規制体制を整える方針。

 DTCにしろLDTにしろ、科学的な妥当性を担保することを重視するFDA。こうした動きが、日本に及ぼす影響は少なくないと考えています。