皆さん、お元気ですか。

 テニス全豪オープンもセレナ選手とジョコビッチ選手の優勝で幕を引きました。しかし、テニスのラケット、シューズ、ウェアの進化がますますショットを高速化させています。いまでは少しでもエンドラインの内側に入り込み、猛烈なアングルショットで相手を倒す戦術が一般化しました。これはそもそも錦織選手の十八番であったもの。既にトップ選手は錦織流のテニスをものにしており、錦織選手は更なる進化を遂げないと、次の全仏オープンでの優勝は望めません。まあ大変な時代に突入したのです。用具の進化に選手の肉体がついて行けなくなることも懸念しなくてはなりません。F1のように、いつの日にか性能ダウンを意図的に行わざるを得なくなるかもしれないと心配しています。

 先ほど呟きましたが、米Genentech社の抗PD-L1抗体が2月1日に膀胱癌に続き、小細胞肺癌を対象にブレークスルーセラピーの認定を得ました。免疫チェックポイント阻害剤の商業化にも苛烈な競争が繰り広げられています。本日、4350人を突破です。年内には1万人突破を目指してネットワークを形成しております。あなたも是非、ご参加願います。
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 ドライバー遺伝子阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤の登場で、癌の制圧に関してはかなり楽観的に見通せる時代に突入しました。では、ポスト癌は何か? これは間違い無く、認知症となることは間違いありません。先週の金曜日、雪深い弘前でCOIストリームのシンポジウムが開催され、そこで聞く数字はいち早く認知症対策を真剣に行わなくては、日本の社会が滅びることを示していました。1月27日、我が国政府は認知症対策の国家戦略「新オレンジプラン」を閣議決定しました。まずこの戦略以上のことを、我が国政府と社会が実行しない限り、私たちの未来は極めて暗いかもしれません。

 現在の政府の認知症患者の公式数字は2012年で462万人、軽度認知障害(MCI)は約400万人と発表されています。この段階でも四国の総人口414万人を上回る認知症患者が我が国に存在するのです。しかも10年後の2015年には認知症患者は700万人を超え、65歳以上の5人に1人が認知症になると推定しています。この推定に基づき、国家認知症対策のオレンジプランが策定されています。

 認知症発症の最大の原因は言うまでも無く高齢化です。厚生労働省科学研究費補助金総合研究報告書「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」によれば、65歳から69歳までの老人では2.9%に認知症が認められますが、70歳から74歳では4.1%、その後急増して、75歳から79歳、13.6%、80歳から84歳、21.8%、85歳から89歳、41.4%、90歳から94歳、61%、そして95歳以上ではなんと79.5%が認知症になってしまうのです。我が国が直面している急速な高齢化は、そのまま認知症患者の急増を意味しています。

 現在でも老後の不安のため!!70歳以上の世帯が平均2000万円以上を貯蓄しておりますが、高齢化による認知症(軽度認知障害も含む)の結果、地方銀行では、カードや印鑑、パスワードなどを度々紛失するケースが急増したり、勘違いの現金違算の訴えなど、窓口で認知症患者対応の時間とコストが膨れあがりつつある現状も、弘前のシンポジウムで報告されました。既に、日本証券業協会の自主規制で、高齢顧客の金融商品の勧誘に対して慎重に行うことが定められています。これは氷山の一角に過ぎず、認知症による社会コストの増大と悲喜劇がこれ以上に多数発生していると推定しています。このままでは、認知症のプレッシャーによって、若者が減少している我が国の地方で社会維持が困難になる時代が、刻一刻と近づいているのです。

 しかし、政府のシナリオはまだ甘いという有識者もおります。我が国のコホート研究の先駆である久山町研究を支えている九州大学の研究グループが、久山町の高齢者と認知症の割合から、我が国の認知症の患者数を推定したところ、政府の推計を86万人も上回る500万人であることが判明、2040年には認知症患者が1000万人を上回ると推定しています。この段階では65歳以上の55%が認知症になってしまうため「一家に一人が認知症」となる可能性を指摘しています。認知症の発生抑制のためには、粘り強い努力と研究が必要であるため、25年後だからとうっかりしていることは許されません。

 久山町研究から学んだ認知症抑止の決め手は、まず糖尿病にならないこと。糖尿病になるとアルツハイマー病のリスクが2.1倍、脳血管障害型認知症のリスクは1.8倍になります。高血圧は認知症のリスクではありませんでした。また、定期的な運動が認知症のリスクを80%削減できる他、健康的な食生活(ダイズ、牛乳、黄緑色野菜、海藻、果物などを増やし、ご飯の摂食量を減らす)でも運動とほぼ同じ程度リスクを低減することもできることが、久山町のコホート研究から明らかになっています。

 当初、文部科学省や厚生労働省はその重要性を認識せず、米国国立衛生研究所(NIH)の研究資金で始まった久山町コホート研究ですが、つくづくこの研究が現在まで継続していたことが良かった。戦後間もない脳卒中対策に加え、今後、私たちが直面する認知症の対策まで、この研究から重要な示唆が得られたためです。

 しかし、残念ながらこうした貴重な日本人の住民コホート研究を息長く支える政府予算は存在しておりません。九州大学のスタッフがやりくりしながら、久山町と共に粘り強く継続しています。そろそろ我が国政府もこうした長期にわたる国民の為のコホート研究をじっくり、何代もの政権が交代しても、支援する仕組み作りをしなくてはなりません。勿論、久山町だけでなく、東北メディカルメガバンクなどの重要な住民コホートに対する目配りも不可欠です。是非とも直ちに検討していただきたい。住民コホート研究こそが、認知症制圧の切り札となるのです。

 今週もどうぞお元気で。

            日経バイオテクONLINE Webmaster 宮田 満

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