明けましておめでとうございます。隔週でメルマガを担当しています副編集長の久保田です。本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

 2015年、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療新法)」と、従来の薬事法を改正した「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」が本格施行されます。最近では新聞各紙でも、再生医療や遺伝子治療の普及を後押しすると大きく取り上げられ、社会的な関心も高まっているようです。

 特に医薬品医療機器等法では、治験で有効性が推定され、安全性が確認された再生医療等製品が条件と期限付きで承認されることになり、承認後に有効性が確認できれば本承認されるという規制緩和が実現しました。法律の本格施行で、再生医療や遺伝子治療の開発が活発化し、条件と期限付きのものも含めて承認される品目数が増えるのは必至でしょう。

 では、新法施行で恩恵を受けるのは誰なのでしょうか。単純に考えれば、国内で再生医療や遺伝子治療の開発を手掛ける企業ということになるでしょう。実際、新法施行と前後して、テルモの虚血性心疾患による重症心不全に対する自家骨格筋芽細胞シートと、JCRファーマの急性移植片対宿主病(急性GVHD)を対象とした他家ヒト間葉系幹細胞が再生医療等製品として承認申請されました。企業の考えや厚労省の判断にもよりますが、いずれかが条件・期限付き承認を得る再生医療等製品の第一号となる可能性があります。

 ただ、厚生労働省のある関係者は、「今回の規制緩和のベネフィットを国内企業が享受する前に、海外企業が来てしまうのでは」と不安を口にします。理由は、国内に他家の再生医療を後押しする公的または民間の細胞バンクがないため。国内で、骨髄液などを手に入れるには、日本赤十字社から提供を受けることなどが考えられるわけですが、そうした原料調達を前提とした規制の枠組みもないのが現状です。

 他家再生医療向けの細胞バンクとしては国内で、iPS細胞バンクの構築が進められているものの、健常人の間葉系幹細胞などを使って有用な再生医療製品が開発できるのであれば、コストの面などから“高級な”iPS細胞を使わなくとも事足りるでしょう。再生医療事業への参入をうかがう国内製薬企業の関係者も、国内に他家再生医療向けの細胞バンクがない状況を「懸念材料」と指摘します。

 一方海外では、民間の細胞バンクなどを利用して他家再生医療を開発する現実路線が主流。前出の関係者は、「他家再生医療製品で治療できる疾患は少なくない。規制緩和された日本において、他家再生医療の実用化を狙う海外企業は数多く、市場を持って行かれる可能性もある」と危機感を募らせています。