明けましておめでとうございます。普段は、医療・健康・介護の技術革新によって生まれる新産業「デジタルヘルス」を追い掛ける媒体、日経デジタルヘルスで活動しています。今回、この場に登場させていただいたのは、バイオテクとデジタルヘルスは決して遠くない関係にあると考えるからです。

 予防医療に対する機運の高まりやモバイル化・ワイヤレス化・低コスト化をはじめとするテクノロジーの進展を背景に、医療の存在がどんどん消費者(患者)に近付いてきています。新たな事業機会を模索する企業や新産業創出を後押しする政府の戦略が、その動きを作りだしているとも言えます。いずれにせよ、この流れは加速するばかりです。

 2014年には、日経バイオテクと日経デジタルヘルスで共に話題になったテーマの一つとして、一般消費者向け遺伝子検査サービスがありました。このテーマが“研究室の中”から飛び出し一般消費者に近付いてきた背景には、遺伝子解析コストが劇的に下がってきたことがあります。そして、そこに目を付けた多くの企業が参加してきたことが流れを作りだしました。

 特定の体質や疾病と関わるSNP(一塩基多型)を調べるだけでなく、全ゲノムを解析するコストについても急速に下がりつつあります。数年前から米国を中心に、全ゲノムを1000米ドルで解析する「1000ドルゲノム」を目指したシーケンサーの開発が進められ、2014年にはこの目標がほぼ達成されました。

 2015年には「100ドルゲノム」が次なるターゲットとなります。2014年12月に東芝が開始した日本人向けゲノム解析チップ「ジャポニカアレイ」を用いたゲノム解析サービスでは、1人当たりの解析費用を約2万円に抑え、100ドルゲノムへの先鞭を付けました。これは一例に過ぎませんが、こうした技術革新はとどまることを知りませんし、その技術革新の成果を活用して新事業を構築しようとする企業は続々と登場するでしょう。

 繰り返しになりますが、この川の流れはもう止めることができません。氾濫させることなく、大きな海へとつなげるために重要なのは、川上と川下の連携や互いの理解だと考えています。川下の人たち(企業など)は、出口ばかりを意識することなく源流にも目を向けるべきですし、川上の人たち(研究者など)は川の流れが速くなっていることを自覚しなければなりません。

 日経デジタルヘルスでは2015年、読者に対してこうしたメッセージを繰り返し発信したり日経バイオテクをはじめとする他媒体との連携を深めたりすることで、広い視野の情報を届け川上から川下までの連携・理解をうながす考えです。逆に、この原稿を読んでいただいている日経バイオテクの読者の皆様にも、ぜひ、日経デジタルヘルスを時折チェックしていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。