教育は力なり-産業を支える人材育成

 新春のお慶びを申し上げます。

 昨年は、日経バイオテクのリレー連載、「ものづくり細胞エンジニア」の連載の第1回にて皆様にご挨拶申し上げました。連載も好評のうちに10名+アルファの本分野に関連する先生方に無事にバトンタッチすることができました。厚く御礼申し上げます。

 連載1回目にも記載しましたが、我が国は、発酵産業の伝統の下、バイオテクノロジーを用いたもの作りに関する高度な科学・技術をもつ「もの作りバイオ大国」です。バイオ関連産業の発展には、単にサイエンスとしての生命科学の進歩のみならず、バイオテクノロジーを用いた物質生産に関するしっかりとした基盤が必要となります。我が国はそのしっかりとした基盤をもつ、もの作りバイオに関する先進国です。創薬のシーズから実際の上市に至る過程においては、様々な高度の技術の集積が必要であり、それを支える基礎科学、工学の発展が無ければ成り立ちません。「プロダクションサイエンス」は、もの作りにかかわる科学・工学を総称した筆者の造語ですが、プロダクションサイエンス、すなわちもの作りバイオに関わる地道な目的基礎研究の振興が、実用化を見据えた際の重要な基盤構築になると考えています。

 昨年は、我が国の地方大学の出身者からもノーベル賞受賞者が輩出され、地方の研究者も大変勇気づけられた年となりました。このような研究は、真に手厚く、裾野の広い日本の人材育成によるしっかりとした基盤にて支えられています。2015年は研究のみならず、産業を支える人材育成についても注目すべき年と考えております。

 小生がプロジェクトリーダーを務めております経産省の次世代バイオ医薬品製造技術研究(「国際基準に適合した次世代抗体医薬等の製造技術」)も、神戸市、神戸大学の多大なるご尽力を頂き、新たな研究拠点が整備されます。本研究拠点では、プロジェクトで行っている100以上のバイオ医薬品生産に関わる研究課題をステップを踏みつつ順次統合し、プラットフォーム化を推進していく予定です。さらに本年は日本医療研究開発機構の下、他プロジェクト等とさらなる連携・研究を進めて参ります。また、この研究拠点では様々な皆様にご協力を頂き、研究のみならず、産業を支える人材育成についても精力的に活動していく予定です。

 細胞産業は大きな期待が寄せられていますが、まだまだ未完成です。細胞も1日に1個が2個にしか増えず、時間もかかります。これを支える研究や人材育成も、継続してじっくりと取り組む必要があります。「もの作りバイオ大国 ニッポン」。新たに、期待と決意を込めて。

 皆様にとって実り多き一年でありますように。