世界情勢としては、ウクライナの混乱や、イスラム国による悲惨な戦いが拡大したり、エボラ出血熱による不安が広がったりと、落ち着かない状況ですが、日本ではまた穏やかな新年を迎えることができました。

 しかし、日本でも急激な少子高齢化と人口減少により、2040年には全国の地方自治体の約半数が消滅するとの予測が昨年に発表されるなど、世界でも未曽有の急速な社会の構造的変化と不安定化を目前に控えていると実感されます。医療もこの劇的変化は避けて通れず、次第に経済的に逼迫していくこと予測されるため、迅速化や効率化などあらゆる方策により、これに備えることが極めて重要だと思われます。

 本年にはアベノミクスの成長戦略「第三の矢」として放たれた医療分野改革として日本医療研究開発機構(AMED:Japan Agency for Medical Research and Development)も始動することになり、“オールジャパン体制”のもとでの、アカデミア発の創薬や医療技術開発などへの期待やプレッシャーが一層高まるものと予想されます。

 実際に、医療行為や医学研究を医療経済への貢献に配慮しつつ行わなければ、システム的に早晩立ちいかなくなるのであろうと危惧される状況におかれ、私のように比較的罹患者が少ない悪性脳腫瘍の診療・研究を専門とするものとしては、規模の経済効果を有さない分野だけに特に危機感を強く感じます。希少疾患や難病に罹患した患者さん達が、国内の経済的理由で最先端の治療から取り残されないためにも、このような疾患治療についての研究開発する意義を、科学的にも経済的にも示せるように今年も試行錯誤していきたいというのが、新年にあたっての抱負になります。