次世代の血管新生阻害療法の創生にむけて

 血管は全身に張り巡らされており、がんなどの多くの国民の死因となる疾患にも重要な役割を担っています。例えば腫瘍は自らの成長のために盛んに血管を呼びよせ新たにつくらせます。このことから,新しいがんの治療戦略として,血管新生阻害療法が近年注目を集めています。その代表的薬剤としてVEGFに対する中和抗体Bevacizumabが2004年に欧米で認可され、本剤は現在多くのがん治療に用いられています。

 一方、これらの治療薬にも克服すべき問題点があることもわかってきました。例えば喀血や消化管出血,高血圧などの副作用などが指摘されています。VEGFは正常血管の生存にも重要なため、そのシグナルの遮断は正常血管に対する傷害を引きおこすことがこれら問題の背景にあります。

 現在、腫瘍血管選択的な血管新生阻害療法の開発の必要性が認識されはじめてきました。 われわれは腫瘍血管内皮細胞の分離・培養に成功し、それらが多くの異常性をもつことを明らかにし、腫瘍血管内皮細胞に特異的なマーカーをいくつか同定してきました。これらは新しいがんのマーカーとしても非常に有望で、さらに分泌タンパクであれば血管新生阻害療法のコンパニオン診断薬としても応用が可能と考えられます。副作用のない、がんの血管に特異的な、さらにコンパニオン診断薬をもつ新しい血管新生阻害薬の必要性は高まっております。

 多くの研究者と連携しわが国から次世代血管新生阻害療法の創生が実現するように前進したいと決意を新たにしています。