生体内分子の制御技術が成熟し、真の創薬の始まりへ

 協和発酵キリンは、癌、腎、免疫・アレルギー、中枢神経のカテゴリーで最先端のバイオテクノロジーを駆使した画期的新薬の継続的創出を目指しこれまで歩んで来ました。

 2014年の主な開発パイプラインを創薬技術(Modality)で分類してみますと、(1)蛋白医薬は、ペグ化G-CSF(新発売)、持続型EPO (追加適応承認)、遺伝子組換えアンチトロンビン(申請中)、(2)抗体医薬は、抗CCR4ヒト化抗体(追加適応承認)、抗IL-5受容体ヒト化抗体(Ph3)、抗CD40完全ヒト抗体(Ph2)、抗FGF23完全ヒト抗体(Ph2)、(3)低分子医薬は、アデノシンA2A受容体拮抗薬(Ph3)等に分類されます。

 プロダクトパイプラインを分析して明らかなように協和発酵キリンの最大の特徴は抗体医薬に限らず、創薬技術(Modality)を積極的にコアコンピタンスとして取り込んで行く姿勢にあります。つまりModalityの変化の波を敏感に受け止め、時として創薬ベンチャーの如く、Modality開発に自ら取り込み、新たな創薬エンジンを創り上げて行く、これが協和発酵キリンです。現在、抗体医薬のさらなる進化形にもトライし、次に来る新たなModalityとして核酸医薬の技術開発にも果敢に取り組んでいます。

 創薬の歴史は、低分子医薬→蛋白医薬→抗体医薬→核酸医薬→?と進化して来ていますが、この歴史は取りも直さず、ヒト生体内分子を如何に精密に制御し病態を治癒、改善させるのかと言う生体分子制御技術の進化の歴史です。元は偶発的な低分子創薬からスタートした医薬世界ですが、低分子創薬で制御可能だった生体内のmachineryはエンザイムに加え、GPCR、トランスポーター、チャンネルと言う一部の膜蛋白に限定されていました。

 これがサイトカイン等のシグナルも操れるように膜蛋白制御の幅を広げたのが、遺伝子組換え技術に基づく蛋白医薬であり、抗体医薬でした。現在、Modality開発の戦場は、徐々に細胞内での分子制御に移りつつあります。「低分子創薬からバイオ創薬へ」と言うキャッチフレーズでModalityの流れは一つの方向性が強調されていますが、生体内分子の制御技術が成熟して来た今こそ、真の創薬が始まるのではないかと考えています。

 副作用が限りなくゼロに近く、かつ有効性のみが際立つ創薬が可能になる世界が夢でなくなりつつあります。そう言う未来の創薬像を真正面から見据えた上で、協和発酵キリンは2015年のスタートを静かに切りたいと考えています。