「Life」を多様に翻訳できる医療研究開発の推進が急務

 2014年は鳥インフルエンザ、エボラ出血熱など新興感染症が眼前の脅威としてクローズアップされた1年であった。一方で、再生医学の医療への展開が本格的にスタートする節目の年でもあった。

 医療研究開発の領域では日本の基礎研究から発信される複数の有望な抗癌剤が世に出されつつあり、その未来は決して暗くない。一方で、超高齢社会の先頭を走る我が国は認知症の対策を急務としており、当該領域のmedical R&Dは「シーズから立ち上げる新薬開発」の視点とともに「介護や医療の現場のニーズからくみ上げる実用的な開発研究」にも力点を置くべきであると考える。両者が相まって「Lifeを、生命とも、生活とも、人生とも翻訳できる医療研究開発の推進」が求められていると考えます。

 一方、来春に医学部を卒業する学生は3年後の専門医制度を経験する最初の医師世代となる。国民一人一人がどのように誕生し、成長し、病を経験して亡くなっていくか、外科ではすでに展開されているNational Clinical Databaseのような手術登録のしくみが内科系では大きく遅れている中、2015年は医療情報統合データベースの包括的なデザインが愈々求められるようになるであろう。

 人口が1億レベルの国家で、medical R&Dや一人ひとりの医師が一生の間に遭遇する疾患の分析、さらには医療コストの構造的分析と、追って超高齢化する諸外国の戦略策定に資するセキュアなデータベースの構築が可能などうかが問われる「元年」となるであろう。