TestingからDiagnosticsへの進化の時代

 新年明けましておめでとうございます。本邦で初のコンパニオン診断薬(CDx)として「ポテリジオテストIHC/FCM」(協和メデックス社)と「Vysis ALK Break Apart FISHプローブキット」(アボットジャパン社)が薬事承認を受けたのが2012年に遡ります。前後して2013年7月に厚生労働省食品医薬品局審査管理課長通知「コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品承認申請に係る留意事項について」が発信され、本格的なコンパニオン診断薬開発の土壌が整いましたが、昨年(2014年)にコンパニオン診断薬としての薬事承認を得たものはわずか1件(ニチレイバイオサイエンス社の「ヒストファインALK iAEPキット」)にとどまりました。CDx開発にはそれなりのハードルがあるのだと思われます。こうした状況下、弊社が取り組むCDx開発・事業に関連する変化として、2015年の展望を3点お示し致します。

「1:1→Multiplex」
 今のガイドライン上のCDxは治療薬と1:1で診断薬の同時開発を求めていますが、複数のバイオマーカーを検査する必要性は既に肺癌等では明らかであり、次世代シーケンサー(NGS)などのマルチマーカー解析を可能とする技術がある中では、その臨床応用は待ったなしで進められつつあります。従来型のCDxを複数開発との考え方ではなく、新たにMultiplex CDxとしての考え方(検査としての評価方法、薬事要件及び保険点数の付与など)の整理が急務となっており、2015年にこの課題に対するブレークスルーが期待されます。

「Tissue→Liquid Biopsy」
 高感度Digital PCR技術や高感度NGS技術の進展により、血中の極微量な癌組織由来遺伝子変異を検出することが可能となりました。Tissueでは部位間差が問題となることがありますが、Liquid Biopsyではシステミックに検査でき、かつ非侵襲的に複数回採血できる利点があります。本邦に限定できませんが、いよいよ2015年中にLiquid Biopsyを検体とするCDxが誕生する可能性が期待されます。

「Prediction→Monitoring」
 これまでのCDxまたはIVDとして承認を受けた広義のCDx診断薬は、全て患者又は治療薬の選択を目的としたものでした。今後、上記Liquid Biopsyによる遺伝子検査が容易になると、治療(手術や薬物)後の血中遺伝子を経時検査することで、Minimum Residual Disease(MRD)や治療薬に対する獲得耐性をMonitoringすることが可能となります。これもCDxの範囲であり、再発リスクをいち早く予測して早期治療方針を決定し、また治療抵抗性の中で無駄な薬物治療の中止を判断する等、治療後の血中Monitoringの臨床価値は高いと考えられます。2015年中にはこれらを示す臨床エビデンスの蓄積が期待されます。

 個別化医療における主役の一つがCDxであるわけですが、上記のとおりの展開が見込める中、治療の実態により近いところで、検査の性能・品質・コストパフォーマンスはもちろん、臨床診断上の意義を明確に語る必要性が求められます。すなわち、診断薬メーカーがCDxを扱うと言うことは、単に「診断の補助」としての検査を開発し、市場導入するとの考えではなく、「治療をガイドする検査」を担う診断薬とその臨床価値を提供することがミッションとなります。弊社は、この使命感をもって、2015年、個別化医療に貢献すべく関係する皆様のご支援及びご協力をいただきながらチャレンジしていきます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。