足場材料の活用で再生医療の産業化を推進

 新年おめでとうございます。昨年2014年11月25日にいよいよ再生医療に関する二つの法律、「再生医療の安全性の確保等に関する法律(いわゆる再生医療新法)」および「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(いわゆる改正薬事法)」が施行されました。また4月からはAMED(いわゆる日本版NIH)が創設されるとのことです。再生医療を推進するバックボーンはできあがった様に見えますが、運用次第ではどうなるかまだ油断を許さない状況だと思っています。医療に関わる各省庁に分散していた予算を一括管理して配分するとのことですが、ばらまきにならない集中的な予算配分が実現できるか手腕が問われます。多くの場合アカデミアのシーズを企業が引き継ぐことができずその間には死の谷が存在するといわれます。果たしてそうでしょうか?良い結果が出ているのであれば取り上げたテーマに問題が無かったのでしょうか?

 企業が取り組むためには事業として成り立つテーマでなくてはなりません。従業員を雇用し、次の投資に向けられる適切な利潤が無ければ資金を投入することはできません。治療にかけられる費用や想定される患者数など医療経済として成り立つかが重要です。もちろん患者数が少なく経済的に成り立たない医療でもQOLの大幅な改善が見込まれるならば国の責任で治療できるようにすべきでしょう。国民や企業からの税金で研究をするアカデミアで、特に実用化を目指す研究者の方には医師法下で少数の患者の治療を目指すのか、改正薬事法下で承認を得て多くの患者を治すことを目指すのか出口を明確にしてテーマを設定し取り組むことをお願いしたいです。

 再生医療の産業化においては使われる細胞が自家なのか同種(他家)なのかが極めて重要ですが、今回の法改正では他家のハードルが高く、産業化推進には厳しい状況では ないかと思います。また、再生医療に重要な貢献をする足場材料(スキャフォールド) が全く注目されていないのが残念です。さて、富士フイルムですが、当社は細胞接着性のRGDモチーフを12組み込んだコラーゲン様のアミノ酸配列を持つ足場材料RCP(商品名:セルネスト ヒトI型コラーゲン様リコンビナントペプチド)を開発し、昨年12月25日に研究用材料として発売させて頂きました(関連記事プレスリリース)。多くの細胞は足場に接着して生存、成育し機能を発揮します。足場材料を使うことで細胞をより効果的に機能発現させることができると期待されます。是非一度お試しいただければと思います。また、顆粒状の足場材料と細胞を混ぜて培養しモザイク状のスフェロイド(セルザイク)にすることで中心部まで細胞を生かした状態で大きな組織を作ることができます。大きな組織の移植や創薬への応用が考えられます。こちらはすでにアカデミアの方といくつかの共同研究を進めさせていただいておりますが、興味を持たれた方は弊社再生医療事業推進室までお問い合わせいただければ有難いです。

 富士フイルムは足場材料の技術をベースに再生医療、創薬支援等の様々な分野で医療の発展、人々の健康に貢献していきたいと思います。富士フイルムを宜しくお願いします。