アグリバイオ最新情報【2014年11月30日】のハイライト
ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

11月のハイライト

まず始めに、今月の配信が遅れましたことをお詫び申し上げます。

 今月は、いかにして遺伝子組換え作物およびそれ由来の食品の有用性を語るかの記事が多いように思う。これらに対する正しい知識の普及を図る時期にきているように思われる。アジアでは、フィリピンが極めて盛んに教育から進めてきている。大変参考になるといえよう。

 フィリピン高等教育委員会(CHED)は、ケソン市のCHED事務所で2014年11月24-28日、今年のフィリピンバイオテックウイーク(NBW)を主催した。そのテーマは、「私たちの未来のためのバイオテクノロジーに関する教育を育てよう」であった。この事業は、食糧生産、食糧安全保障と飢餓の緩和に果たすバイオテクノロジーの役割について、一般大衆の意識を高めることを目指している。これに加えて、フィリピン農業省がバイオテクノロジー奨学金プログラムの立ち上げたこと。これに比べ我が国の状況は、はなはだ嘆かわしい状況である。

 また、ヨーロッパで最も著名な植物科学者20人以上が、「植物科学に対して適切に研究費が与えられない限り、欧州は、研究のその優位性を失う可能性がある」と警告する共同書簡に署名した。ドイツ、スイス、英国、オーストリア、オランダ、ベルギー、スウェーデンから最も影響力のある植物科学者が参加し、「ヨーロッパの基礎および応用植物科学が、第二流の状態に追いやられることを懸念している」と述べている。日本の植物科学者にもこのような行動に出ることを望んで止まないのは私だけなのだろうか? つい先日の北海道新聞の記事の中で、かの組換え作物条令策定の中心人物が、「遺伝子組換え作物は、自然でないからよくない」と堂々と述べている。これが生物学者(元北海道大学農学部教授)の発言とはとても思えない。こんな状況では、そのうちに品種改良は不可能になる。なぜなら、これらはすべて自然でないので受け入れられないということになるからである。

 ここに改めて公開書簡の言葉を引用する。
 「現在、EUが採っている遺伝子組換え植物の承認に事実上モラトリアムが適用されていることは、応用植物科学に害があり、公的資金による科学や中小企業が効果的に社会の大きな課題に対処する可能性を排除している」と述べている。

 これらを是正するのは大変ではあるが、我が国の農業・食料についての大きな課題である。これには、今回紹介されている「科学者からの直言:一般大衆への情報提供に関する遺伝子組換え専門家の視点と経験」が参考になる。フィリピン、マレーシア、インドネシアの例が紹介されている。是非とも詳細をみていただきたい。

世界

遺伝子組換え作物の影響のメタアナリシス
米国農務省(USDA)は、INNATEジャガイモの規制をはずした
国際食糧政策研究機構(IFPRI)は2014 年世界栄養報告を発表

アフリカ

ケニアの農業生産者が遺伝子組換え作物を導入してEU市場に参入するとEUが公式に発表
ナミビアはGMOを合法化する基盤を作成
スーダン農業生産者は、Btワタからのメリットを享受

南北アメリカ

米国の州は、GM表示法を拒否
連邦判事がマウイ郡のGM作物禁止を止めた
米国農務省動植物衛生検査局(APHIS)は、遺伝子組換え低リグニンアルファルファの規制を解除
BTトウモロコシは、メキシコで収量を向上させ、農薬の使用を減らした
旱魃に強いトウモロコシがより深い土壌断面に影響する

アジア・太平洋

2種の除草剤耐性トウモロコシにヴェトナム政府は、バイオセーフティ証明書を出した
GM作物がアジアでの人命を救った
活性化、公正及びASEAN統合のための作物バイオテックに関する国際会議を開催
中国最初の遺伝子組換えトウモロコシ圃場試験が完了
低毒素ジャガイモの作成
フィリピンバイオテックウイークでは、学生と主要な利害関係者のためのバイオテック教育にハイライトを当てた
農業生産者と農業普及員の員がBTナスの生産トレーニングに出席

ヨーロッパ

ヨーロッパの最先端の植物科学者がGM作物の試験禁止を止めるように呼びかけた

研究

ラットへの給餌試験でBTイネが安全と証明

文献備忘録

ビデオ:Nina Fedoroff 氏が語る「100億人の夕食のために」

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2014年11月30日】 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141218/181222/