こんにちは。隔週でこのメールマガジンを担当している日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 携帯電話は小型なタイプが好みなのでずっとスマートフォンは持たず7年前の機種(日本の携帯電話はこの頃が最も小型で、その後、高機能路線でどんどん大きくなりました)を大事に使ってきたのですが、ついに強制的にiPhoneを持たされることになってしまいました。

 路上や電車の中でありとあらゆる人がスマホを凝視している光景がちょっと異様に思えることも、スマホから距離を置いていた理由の1つだったので、iPhoneの支給が決まった時は、「通勤中は読書の時間。電車スマホはやめよう」と決意したはずなのですが、実際に持ってみると「メールやfacebookを今すぐチェックしたい」という欲求にあらがうのは相当難しいということを思い知りました。ついついポケットからスマホを取り出してしまい、読書量が減少しています。スマホとはほんとに恐ろしい機械です。

 さてバイオです。今年は遺伝子治療に関するニュースが目立った年でした。国内ではアンジェスMGの遺伝子治療薬「コラテジェン」の、重症虚血肢を対象とした国内・海外での承認取得を目指した最終的な臨床試験が開始されました。

アンジェスMGの「コラテジェン」、先進医療での投与を開始
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141017/179600/

アンジェスMG、「コラテジェン」の国際共同フェーズIIIで登録第1号
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141006/179405/

 また、リポ蛋白質リパーゼ欠損症の遺伝子治療薬である「Glybera」に関して、販売会社が1患者当たり1億円を超える薬価を申請して話題にもなっています。遺伝子治療なら1回の投与で10年近い効果を期待できることを考慮すると、医療経済的には妥当な額なのかもしれません。

オランダuniQure社の遺伝子治療、1回当たり1.5億円の薬価を申請
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141128/180740/

 国内でもタカラバイオが複数の遺伝子治療薬の臨床試験を進めており、さらには新たに遺伝子組換えT細胞の臨床試験開始も計画しています。5月には、遺伝子治療薬の研究開発に特化した創薬ベンチャーの遺伝子治療研究所が設立されています。同社は自治医科大学発ベンチャーで、一気に4品目の遺伝子治療薬の臨床試験開始を計画しています。

 ただし、国内の遺伝子治療を巡る研究開発を振り返ると、遺伝子治療は絶滅危惧種かと言いたくなるほどの状況が続いてきました。最大の要因は、iPS細胞を中心とした幹細胞研究に公的研究費が過剰配分され、遺伝子治療の研究費が枯渇寸前になっていることだと、多くの研究者が指摘します。日本遺伝子治療学会の会員数は減少が続いています。満足な研究ができないので、若手がこの分野に入ってこなくなっているからです。

 しかし、世界的に見れば、遺伝子治療の臨床での実績とES細胞やiPS細胞のそれを比較すれば、どちらが実用化に近いか、議論の余地はないでしょう。AMED(日本版NIH)は、今一度、遺伝子治療のポテンシャルを見直すべきではないでしょうか。

 果たして遺伝子治療はこのまま衰退してしまうのか、それとも復活を遂げて難病の救世主となり得るのか。日経バイオテク12月22日号特集で遺伝子治療を取り上げます。