パワーハラスメントを行ったとして懲戒解雇された群馬大学医学系研究科の元教授が、解雇は不当だとして大学を提訴するようです。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141202/180824/

 この教授(医師)は、教室の講師や助教に対して退職や休日出勤を強要したり、女性研究者に「結婚は△、出産は×」といった発言をしたとして、大学から注意・指導されていましたが、改善が見られなかったとして諭旨解雇処分が決定され、退職願を提出しなかったために懲戒解雇処分となりました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141202/180823/

 これに対して元教授は、平日を含む大型連休の前に「連休明けに結果を見せてほしい」と伝えたり、「月曜に実験するなら、土日に培養状況の確認や準備が必要だ」と話したことが休日出勤の強要と判断され、実験ノートを書いていなかった研究者に実験を行った当日中に書くように指導したことも、時間外勤務の強要や叱責と見なされたと反論しています。また「結婚は△、出産は×」という発言については、「分子医科学分野で有名な教授のウェブサイトに書かれていた言葉。それを『100%間違いとは言い切れない』と言ったことが、自分が話したことのように伝えられている。女性蔑視の意図はなかった」としています。

 パワハラを受けた方も当然反論していますが、どちらもある意味本当のことを言っているのでしょう。おやっと思ったのは、「群馬大から諭旨解雇処分を告げられた際、応諾書または応諾拒否書へのサインを求められた。これらの文書をいったん持ち帰って検討したいと告げたところ、応諾拒否と見なされ、その日のうちに懲戒解雇となった」という元教授の言い分です。組織の対応のまずさがそこに加わっているのは間違いないでしょう。またか、という感じがしますが、1度は報道されたがその後マスコミが沈静化しているのは、理化学研究所のおかげでもあるのでしょうか。

 群馬大といえば、2011年にも保健学研究科大学院の入学試験で、面接官の教授から「なめてんじゃないよ、あんた。そんなんで研究者になれると思ってんの。それじゃ、テクニシャンじゃないか。甘ったれるのもいい加減にしなよ」などと罵倒されたアカハラ事件が報道されましたが、この状況は全国どこの研究機関でも大同小異なのでしょうか。このところアカデミアのモラルに関する批判が出て来ていますが、まずは研究者の待遇・格差の改善なくしては、モラル向上をいくら訴えても劇的な改善は望めないでしょう。これもSTAP騒動のおかげで、将来が見通せない研究者の待遇に世間の注目が行ったことは、「ピペド」という言葉はともかくとして、少しでもよしとしましょうか。

 折しも弊社では、パワハラに関するeラーニングが行われているところです。そこにあった文面は、
・情報化時代以前の企業では、情報伝達や今まで培ってきたスキルの伝達が管理者の大きな仕事でした。しかし、技術革新や情報化の流れにより変化が激しくなった現在、管理者の仕事は大きく変わりつつあります。人材や雇用形態の多様化に対応するためにも、管理者の役割は目標設定や職場環境の調整といった方向に変化することが求められています
・言いたいことをきちんと伝えるためには、相手がどう受け止めるかを想定しなければ効果は上がりません。部下の状況や能力に合わせて場面設定、言葉や声の調子などの表現方法を工夫する必要があります。
・叱責は、ためず・繰り返さず、「その場ですぐに」
・行為は叱っても人格は否定しない
・3つほめて、やっと1つしかるくらいのペースを心がけて
などなど。ぬるい――ですよね。
でも、大同小異と言いましたが、その小異が大切なのです。

                       日経バイオテク編集長 関本克宏

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