訳あって古いデータを探していたら、2001年に開催されたヒトゲノム解読完了の記者会見の写真がハードディスクから出てきました。

国際プロジェクト、Celera社ヒト・ゲノム解析論文発表、遺伝子総数は3万?
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/4413/

 当時、理化学研究所ゲノム科学総合研究センターゲノム構造情報研究グループプロジェクトディレクターでいらした榊佳之氏が中心に着席した記者会見でしたし、当時、慶應義塾大学教授でいらした清水信義氏や理化学研究所ゲノム科学総合センター所長でいらした和田昭允氏も着席されています。記事にも解像度が低くなっていますが写真を掲載しておりましたので、ご興味のある方はご覧下さい。

 米Celera社も解読を進めており、国際コンソーシアムか民間企業単独の解読か、などと、日経バイオテクを始め、多くのメディアを賑わせたことを覚えておられる方も多いことでしょう。

 ちょうどこの頃、イネ・ゲノムについても農業生物資源研究所上席研究官の佐々木卓治氏(当時)をはじめとする国際コンソーシアムが解読を進めていましたが、スイスSyngenta社の研究子会社がいち早くゲノムを解読したと発表して、こちらも多くの騒動がありました。

続報、Myriad社、Syngenta社、イネ・ゲノムの塩基配列解読を完了
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0001/4299/

Syngenta社、国際コンソーシアムにイネ・ゲノム情報を無償提供、解読加速化へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0501/7736/

イネ・ゲノム、小泉総理が解読宣言、日本の優位性を生かせるかが重要
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2001/8289/

 特にイネ・ゲノム解読では、農水省は多額の予算を投じていて、解読への貢献度も高く、コンソーシアムのリーダーシップを取っていましたが、民間企業が「解読完了」と宣言したものですから、その後は、多くの関係者を巻き込んで大変な騒動でした。当時の解読コストや必要な人的資源を考えれば、騒動や首相や大統領まで担ぎ出された「お祭り」はさもありなん、というところでしょうか。

 やや懐古趣味で恐縮ですが、当時、並み居る先生方が指摘されていた「ゲノムは『辞書』だから」という言葉を思い出します。様々な研究を進めるにあたり基盤となる情報として必要であるという意味でした。その後、ゲノム解読コストが一気に低下し、一研究室で実施できるぐらいになったのは皆様ご存じの通り。

 そして、明らかになってきたことは、ゲノムは辞書ではあるけれども、個体で見てみると、加齢などに従ってどんどん「改訂」するし、しかも外的要因によっても書き換わっていくということでしょう。昔は何千円も出して小学校入学の時に買ってもらう大層なものでしたが、今は多くの人の書き込みで成立、そして日々変化していくWikipediaでしょうか。

 では、決してstaticではないゲノム情報を使って創薬の標的やバイオマーカーを探索していくにはどうしたらよいのでしょうか?

 日経バイオテクでは、日本PGxデータサイエンスコンソーシアムの共催を得て、12月にセミナーを開催します。
http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/141210/

 気鋭の研究者にご登壇いただき、また参加者を交えて議論していただく時間を設けております。有料セミナーで恐縮ですが、ご興味のある方、是非、ご参加下さい。

                          日経バイオテク 加藤勇治