どうしてもアシクロビルを上回ることができない。この難局を打開するため、当時、研究所でウイルスチームを率いていた富山化学工業薬理研究部の古田要介副部長は、1997年に同社初のランダムスクリーニングに打って出る。薬理活性が示された既知の母核を中心に誘導体を合成してきた富山化学の伝統から飛び出したのだ。これを可能にしたのが、94年に研究所長に就任した現在、富山化学工業富山事業所の成田弘和事業所長が整備を進めていた自社ライブラリーだった。当時はハイスループットスクリーニング(HTS)もない。しかし、幸運にも手作業でスクリーニングを始めて1年半でリード化合物T1105に辿り着いた。アビガン創製への扉が開いた。

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