隔週でメルマガを担当しています日経バイオテク副編集長の久保田です。昨日、ドイツBayer社の記者会見に行ってきました。会見の目玉は、同社がオープンイノベーションの一環として、京大と交わした創薬研究のための包括契約です。

ドイツBayer社、京大と創薬研究で包括契約、第1弾のテーマは幹細胞
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141016/179590/

 詳細は記事をお読みいただければと思いますが、Bayer社の重点領域で新たな創薬のタネを探すため、定期的に大枠のテーマを決めて共同で会議を開き、そこで京都大の研究者が基礎研究を紹介。創薬のタネとして有望なアイディアやコンセプトがあれば、Bayer社がプロジェクトを立ち上げて研究開発を進めるという仕組みです。

 初回の会議のテーマは、幹細胞だとのことで、Bayer社のイノベーション担当の幹部は「非常に期待している」と話していました。個別のテーマに限らない自由な議論を通じて、大学の基礎研究者と企業の研究開発者のマッチングを図るというのが両者の狙いです。

 会見後、契約の窓口役となった京都大の担当教授に話を聞きました。教授は、「オープンイノベーションといっても、自己アピールのうまい研究者やベンチャー企業ばかりが集まってくるケースが少なくない。しかし今回のようなやり方だと、自己アピールが下手な研究者の中からも、タネを拾い上げられる可能性がある」と話していました。

 なるほど…。あらゆる研究者に対して“オープン”に門戸を開いて、入ってきて貰うためのやり方が肝だというわけです。今回の契約では、Bayer社と京都大が定期的に委員会を開き、活動の進捗やアウトカムを議論する場も設けられるとのこと。門戸を開放しつつ、手綱は握る――。オープンイノベーションの勘どころについて、考えさせられた1日でした。