こんにちは。隔週でメルマガを担当しています日経バイオテク副編集長の久保田です。突然ですが、読者の方々は“ツパイ”をご存知ですか。

 私は今週、取材でツパイを初めて知りました。ツパイ目とは哺乳類であり、リスのような、ネズミのような小動物です。写真をご覧になりたい方は、ググってみてください。このツパイ、耳がヒトの耳にそっくりだったり、肝炎ウイルスに感染するなど肝臓がヒトの肝臓に似ていたりと、非常に興味深い特徴を持つ動物なのです。

 実は今、ツパイを実験動物として利用するための取り組みが、医薬基盤研究所霊長類医科学研究センターで行われています。現在ツパイは、実験動物として広く利用されてはいません。しかし、前述のような特徴から、実験動物として有望と考え、同センターが中国からツパイを輸入しました。

 尖閣問題などで輸入時期が大幅に遅れるなど、ツパイの入手は大変だったとか。その上、両国の関係悪化で追加輸入が認められなくなり、同センターは後がない状態でツパイを飼育、交配を進めてきました。保富康宏センター長によれば、ツパイは多胎出産ではありますが、1度には2、3匹しか生まれない上、出産後は母親が食殺したり授乳しなかったりと、様々な問題が噴出。人工授乳して育てられたツパイも少なくないそうです。

 交配を進め、同センターはF2まで増やすことに成功。今後は、肝炎ウイルスに持続感染しやすいなど、実験動物として有用な系統を確立し、純系化を進める予定です。もしうまくいけば、キメラなどではない小動物として初めて、肝炎のモデル動物として利用されるかもしれません。

 なお、霊長類医科学研究センターには、2014年4月にて新棟が完成。現在稼働テスト中で、来月にも本格稼動する見込みです。新棟はP2、P3に対応した感染症実験施設であり、サルだけでなくツパイも新棟に入る予定です。

 ちなみにツパイは、蜜などが自然発酵したアルコールを飲む習慣のある小動物としても知られています。もしかするとツパイは、アルコール性肝障害の治療法の研究開発にも一役買うかもしれないと、お酒好きの1人として妄想しているところです。

[訂正]
当初のメルマガに「ツパイは実験動物としては樹立されていない」との記述がございましたが、過去に実験動物として利用されていたことが分かりました。そのため、一部本文を訂正しました。お詫びして訂正いたします。