ドラッグリポジショニングは製薬企業の救世主となるか【日経バイオテクONLINE Vol.2119】

(2014.09.12 18:00)
河野修己

 こんにちは。本来は隔週ですが、ここ最近は3週連続での登場となります日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 まずはお知らせです。アジア各国から再生細胞医療のトップ研究者が集まる「アジア細胞治療学会」の第5回年次総会が11月10日(月)から大阪市のハイアットリージェンシー大阪で開催されます。世界初のiPS細胞由来再生医療における移植手術実施が近づいている理研の高橋政代氏も、プレナリーセッションで登場する予定です。早期登録割引が適用されるのは9月30日まで。詳細は以下のサイトをご覧ください。
http://acto2014.info/index.html

 また、本大会が開始される前日、11月9日(日)には、日本、韓国、台湾、シンガポール、欧州、インド、タイの現役規制担当者が細胞再生医療に関する規制ルールを解説するサテライトシンポジウムも実施します。こちらは席数が限られていますので、お早めの参加登録をお勧めします。
http://ac.nikkeibp.co.jp/nbo/acto2014s/

 さて、ここ1カ月はドラッグリポジショニングの取材に駆け回っていました。ドラッグリポジショニングとは、開発が途中で中止された化合物や発売済みの製品について、新たな適応を探索し製品化するという手法です。医薬品に要求される安全性基準が厳しくなる中、新薬開発の成功率は長期的に低下していると言われています。効率改善の1つの手段として、ドラッグリポジショニングに期待が集まっているのです。

ドラッグリポジショニングの“伝道師”、慶大・水島教授に聞く、「DRに対する国の取り組み姿勢が変わってきた」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140901/178682/

そーせいグループの望月副社長に聞く、「ドラッグリポジショニングでは製剤化が重要」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140902/178722/

ジーンケア、ドラッグリポジショニングで肝臓癌の再発抑制薬を開発
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140903/178750/

東大薬学系研究科の林久允助教、ドラッグリポジショニング利用しオーファンドラッグの開発目指す
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140908/178843/

 欧米の大手製薬企業は多くがドラッグリポジショニングの専門部署を設けています。しかし、日本の製薬企業の取り組みは遅れ気味です。それにはいろいろと理由があるようなのですが、製薬企業で創薬研究に携わる研究者にドラッグリポジショニングについて本音を聞いてみると、「あれがうまくいくと新規標的を探索するための予算が減らされかねない」という声も聞こえてきます。

 おそらく日本の大手製薬企業で唯一、ドラッグリポジショニングの専門部署を設置しているのが武田薬品工業です。エクストラバリュー創薬ユニットという部署なのですが、そこのトップのSham Nikam氏に話を聞くことができました。

武田薬品工業・エクストラバリュー創薬ユニットのSham Nikamユニット長に聞く、「2年で10以上の有望化合物を見つけた」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140905/178816/

 Nikam氏に「研究所の所員にとってドラッグリポジショニングは脅威ではないのか」と質問してみました。Nikam氏によると、2年半前にこの部署が立ち上がった時、武田薬品の研究者でもドラッグリポジショニングを正確に理解している人は少なく、警戒感が漂っていたそうです。Nikam氏は、「ドラッグリポジショニングは隠されていた化合物のメカニズムを見つけ出し、新たな価値を生み出す手法。決してオリジナルな研究に敵対するものではない」と説明してくれました。

 ドラッグリポジショニングについて、来週月曜日に発行される日経バイオテクの特集でも取り上げています。是非、お読みください。

日経バイオテクONLINEメール2014

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