こんにちは。隔週でこのメルマガを担当している日経バイオテク副編集長の河野修己です。

 細胞加工受託業の解禁を目前に、同事業のトップランナーとして新施設建設など準備を進めているメディネットで、経営陣の対立が表面化しました。

 同社は7月31日に、昨年10月に就任したばかりの鈴木邦彦・代表取締役社長が取締役に降格し、伊木宏取締役が代表取締役社長に就く人事を発表しています。当初、鈴木氏の降格理由は「本人の申し出による一身上の都合」とされていたのですが、実は違っており、5人いるメディネットの取締役のうち伊木氏ら3人が鈴木氏を解職したというのが実態でした。

 その事実が明らかになったのは、メディネットの筆頭株主で取締役会長の木村佳司氏が会見を開き、マスコミに内情を暴露したからです。

メディネットの木村会長が緊急会見、経営権巡る争いが発生か
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140822/178549/

メディネットの木村会長が取締役の解任に関する臨時株主総会の招集を請求、
再生医療新法の施行を前に混乱を1日でも放っておけない
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140822/178550/

メディネットが取締役会を開催、臨時株主総会の実施は継続審議に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140826/178580/

 これに対して伊木氏らは、昨日の取締役会で、10月に予定していた社長交代を前倒しすることを決定しました。現時点では、伊木氏が代表取締役社長になっています。

メディネット取締役会、鈴木社長の解職を前倒し、経営陣対立が深刻に
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140829/178668/

 同社の内情に詳しいある人物は、「今回のゴタゴタは、メディネットの海外事業に対する方針の違いが原因の1つだ」と指摘します。鈴木氏は証券会社の駐在員として長く欧州に滞在した経験を持つなど、国際派ビジネスマンです。社長就任後の本誌インタビューでも、「この業界はまだまだ市場が十分に形成されておらず、国を超えての企業連携や企業と研究機関の連携が重要になりつつある。当社の経営陣の中で、海外での経験が長く、海外の企業と膝詰めで交渉できるような能力を持っている人材ということで、私が選ばれたのだろう」と発言しています。

日経バイオテク10月21日号「キーパーソンインタビュー」、
メディネットの鈴木邦彦社長に聞く
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20131023/171600/

 実際、鈴木社長は、自らの人脈を活用しスコットランドの投資家と合弁事業を立ち上げたり、米企業から新規開発品目を導入するなど、海外との提携を加速しました。

メディネットと事業提携の英TCB社、来年度に英国でγδT細胞療法の臨床試験へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140522/176543/

メディネットの鈴木社長に聞く、「新型樹状細胞の国内承認取得を目指す」
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140507/175896/

 一方、足下の業績は今期予想を含めて4期連続の赤字になるなど、厳しい状況が続いています。会社が発表した文書には、「肝心の免疫療法総合支援サービス売り上げが期初予想から大きく低迷する事態を招くとともに、中期経営計画から逸脱した案件検討に要するコストを増加させる事態が生じております」といった鈴木氏に対する数々の批判が記載されています。