アグリバイオ最新情報【2014年7月31日】のハイライト
ISAAA日本バイオテクノロジー情報センター(NBIC)の冨田房男代表

7月のハイライト

 驚いたニュースがあった。Elsevierが版元のFood and Chemical Toxicologyに取り下げられたSeraliniらの、ラットの腫瘍発生と遺伝子組換え(GM)トウモロコシを関係付けた論文が、ほとんどそのまま再投稿され掲載された。科学者としての倫理観がない人間はどこにでもいるものだと呆れている。さすがに心ある学者からは不適切と反論がでている。しかし掲載したSpringerのEnvironmental Sciences Europeはオープンアクセスジャーナルである。これでこのジャーナルの価値はがた落ちでしょう。

 報道の仕方で世の中の声が変わるのはあり得ることだ。どう変わるのか、中国での例であるが、ゴールデンライスの報道の影響を調査したものがある。暗喩やあり得ない憶測(西側では大量虐殺の道具だとか種子の特定企業による独占など)を書くことで、3分の1の量の負のトーンを持ったものが大きな影響を与えることになり、科学的、人道主義的なまともな記事は読者には魅力がなかったとの結果であった。

 同様にオーストラリアでの調査では、科学への関心と信頼は高いレベルにありながら、国民の約半数は、科学には関心がないとの結果である。また若い世代の方がより一層関心がない方向に向かっているとのことである。一方、学校における低学年での科学への取り組みの度合いがその後の関心度を決める因子であるとの調査結果が出ている。なにやら数年前に、折角作った小学校での遺伝子組換え教材をすべて廃棄させた農林水産大臣の暴挙を思い出してしまった。世界中がこんな状況では、人類・地球の先が思いやられる。

 これについては、私事になるが「あなたは、そんなに長く生きないから大丈夫!」という私の伴侶のやさしい(?)言葉が気になっている。しかもつい先日は、PM2.5が札幌までやってきて、テレビで警報まで出るのだから安心できない。

 一方、よいニュースは、ようやくパンコムギのゲノム解析が進んだことがある。これでコムギの育種も進むでしょう。元米国国務長官のヒラリー・クリントン女史も遺伝子組換え、特に乾燥耐性に期待し、強い支持のメッセージを出してくれたことは心強い。また、バングラデシュでの遺伝子組換えナスのニュースや、EPAが組換えパパイヤの安全性の公式支持を出したことなどは当たり前だがすばらしいことである。さらに、米国でこの10年で組換えトウモロコシの作付けが倍増していることももっともなことである。

世界

Swraliniの論文が再発表されたが、科学者の懐疑は晴れていない
Hillary Clinton女史が遺伝子組み換えを支持
遺伝子組換え技術は、保全型農業を助けることになる
ISAAA概要47:バングラデシュにおけるBTナス商業化の現状 が刊行された
パンコムギのゲノムの青写真が解明された
世界的遺伝子組換え関連グループが連合した

南北アメリカ

RAINBOWパパイヤの安全性をEPAが公式に支持
米国下院農業小委員会は遺伝子組換え技術の利点に光を当てた
遺伝子組換え(GM)トウモロコシの栽培面積がこの10年でほぼ倍増

アフリカ

ナイジェリアの大臣が遺伝子組換え(GM) ついての誤報に対処
ガンビアの知事が農業の変革にメディアが重要と強調

アジア・太平洋

オーストラリアでの科学に向けたコミュニティの対応をCSIROが研究
バングラデシュでBTナスについてジャーナリストラウンドテーブル討論を実施
フィリピン科学・技術アカデミー(NAST PHL)はインフラ、情報、および革新性の向上に焦点を当てた会議を開催
ゴールデンライス実験報告に関する研究
北海道の農業者は遺伝子組換え作物の野外実験を期待している
韓国で植物育種シンポジウムを開催

ヨーロッパ

ベルギーでのGMの消費者の認識および知識についての研究
英国環境・食料・農村地域省委員会が食品安全保障報告を公表

文献備忘録

商業化された遺伝子組換え/GM作物の世界動向2013のポケットK版が改訂された
国別遺伝子組換え作物の現状と傾向
ISAAA知識のポケットが改訂された

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2014年7月31日】

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https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140811/178315/