1カ月ぶりにGreenInnovationメールでお目にかかります、日経バイオテク編集の河田孝雄です。
GreenInnovationメールでは、環境や農業のバイオ関連の話題をお届けしております。今回は腸内“環境”について紹介します。
まずは、シロアリの腸内から。理化学研究所環境資源科学研究センター(理研CSRS)統合メタボロミクス研究グループ環境代謝分析研究チームと、琉球大学熱帯生物圏研究センター島嶼多様性生物学部門を中心とする研究グループは、13C 安定同位体で標識したセルロースをオオシロアリに与えて代謝物をNMR法で網羅的に追跡することにより、オオシロアリの腸管内に共生する微生物群によるセルロース代謝経路を解析しました。
その結果、新たな代謝経路を発見するとともに、シロアリと腸管内微生物群およびシロアリ個体同士の共生における栄養交換メカニズムの一端を解明しました。
理研CSRSチームリーダーの菊地淳さんと、琉球大学准教授の徳田岳准教授さんらが、英国立協会紀要Proceedings of the Royal Society B(最新インパクトファクター5.683)オンライン版で2014年7月9日に発表しました。
NMRを用いたメタボローム解析の成果です。環境問題の対策などに役立つ成果と思います。
※日経バイオテクONLINEの関連記事
[2014-7-11] 理研CSRSと琉球大、シロアリ後腸の共生微生物に新代謝経路、 NMRでセルロース代謝経路を可視化 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140711/177576/
次はヒトの腸内です。内なる外界が注目を集めています。
理化学研究所に本務として在籍していた腸内細菌に詳しい研究者3人が、慶応義塾大学の医学部、薬学部、先端生命科学研究所の研究主宰者として活躍していることを、日経バイオテクONLINEで報じました。
[2014-7-6] 理研に在籍した腸内細菌トップジャーナル論文の著者、3人が相次ぎ慶大に着任 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140707/177463/
それぞれ本田賢也医学博士と長谷耕二薬学博士、福田真嗣農学博士の3人です。Nature誌やCell誌、Science誌などのトップジャーナルに相次いで腸内細菌関連の論文を発表してきた研究者たちです。Nature誌4報、Nature Immunology誌2報、 Nature Communication誌1報、Science誌1報、Cell誌1報の論文リストを記事に掲載しました。
このうち福田さんは、カルピスの創業者である三島海雲氏が設立した三島海雲記念財団の第3回三島海雲学術賞を7月11日に受賞なさいました。
[2014-7-8] カルピス創業者設立財団の学術賞、 東北大の都築毅氏と慶大の福田真嗣氏らが受賞 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140708/177502/
腸内環境の解析には、メタボロームやメタゲノムなどのオミックス技術が多大な貢献をしています。ただいま日経バイオテクの記事とりまとめを進めております。
腸内環境で重要な役者である乳酸菌の学会を、先週後半に広島で取材してまいりました。
[2014-7-18] 日本乳酸菌学会大会が広島で初開催、11社が独自菌株の成果など発表 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140718/177687/
[2014-7-22] 乳酸菌学会、若手優秀発表賞は北大の阪中氏と北里大の西山氏、東北大の鈴木氏 https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20140722/177712/
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